鯉する乙女の夢

鯉する乙女の夢

 


*(ドラマ)CBとSPE◯翔のクロスオーバーものになります。

*キャラクターがドラマの設定上から外れている為、すみませんと先にお詫びしておきます。

*時系列が特にない単発的な小話です。

 


 ここは紗綾さんの住処(わたしの実家)で、現在わたしの隣には口をきゅっと結んで真剣に前を見据える上司と、その正面には上司を睨みつけている後見人の紗綾さんが座っており、穏やかではない空気にわたしはどうにも出来ず途方に暮れるばかりだ。

 

「私、久遠さんの上司の冴島はるかと申します」

「あー、あんたが噂のサエジマさんね。へぇー、へぇ〜、ほう…結構美人じゃん」

「ありがとうございます」

「んで、うちに何しに来たわけ?」

 

 美人だと褒められた冴島さんは柔らかな笑みを浮かべて嬉しいのがこちらにも伝わり、自分もつられてニコニコしながら熱いお茶を啜る。

 

「アチッ!」

「久遠さん大丈夫?」

「はい…大丈夫です」

「冷ましてから飲みなっていつも言ってんのに…ふぅーふぅー、こんなもんか…あいよ」

「紗綾さんありがとう」

 

 冴島さんに心配されて、紗綾さんが少し冷ましてくれたお茶を受け取り口をつけるとちょうどいい温度になり、ヒリヒリする舌を舌先でツンと撫でた。

 

「本題に入りますと…私、久遠さんともっとお近づきになりたいと思い、本日はご挨拶に参りました」

「ふーん…で、お近づきになるって具体的に言うと?」

「お友達から始めまして…」

「わたしとお友達になってくれるんですか?!」

「望ちゃんはシーーーッ!」

 

 紗綾さんからお口チャックの合図が下った。

 

「お友達から恋に発展して愛し合い、将来的には幸せな家庭を築きたいと思っております」

「ハァーーーっ??!」

「えっ、鯉に発展して会い試合ってどういう意味ですか?」

「そりゃあこっちが聞きたいんじゃー!」

 

 冴島さんは鯉と会って試合がしたいのだと即座に解釈しました。

 やったー!また一つ賢くなりました。

 賢くなったと浮かれ気味のわたしと比べると、紗綾さんの顔はわたしにツッコミを入れる時以上に苛立っているのはどうしてなんだろう?

 

「望さん、わたしの恋人になってください!」

「んがーっ! テメェ…ごほん、あんた何ノコノコ告ってんだこのスケベ上司がああっ」

「すみません、わたしは一応人間なので鯉人(こいびと)にはなれません…」

 

 わたしの返事を聞いた二人は顔を見合わせて困惑を露わに固まっている。

 可笑しなことを言ってしまったのか、不穏な空気を漂わせてしまうこの癖はどうしたら治るの…?

 

「紗綾さん…それじゃあ、魚人(=鯉人)になるにはどうしたらいいの…?」

「何で魚人…? もしや、恋と鯉を勘違いしてる…?」

「ぷっ…ギャハハッ!! うちの望ちゃん最高にズレてんのがお分かりになったっしよー、サエジマさん残念でした〜〜」

「……緋山さんと笑う顔まで本当にそっくりですね…」

 

 お腹を抱えて大笑いする紗綾さんが楽しそうなので、わたしは紗綾さんが笑っている姿が好きなのかもしれないと、ほんのり好きな気持ちが分かった気がした。

 冴島さんと紗綾さんも仲良くなって家族が増えたらいいのにな…そんな夢をいつの日か見たい…

 

****


「…鯉して…会い試合たい……さやさぁん…Zzz」

「……望ちゃんのやつ、どんな夢見てんだ…?」

 

 ベッドで並び眠るわたしを抱き寄せて頭を撫でるその人に身を委ねて、再び別の夢へと旅立つ。