嵐を呼ぶ女 谷村さんが行く❹ その⑹

嵐を呼ぶ女 谷村さんが行く❹ その⑹

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*パラレルにパラレルを上乗せしたお話になるので、お好きな方はどうぞよろしくお付き合いくださいませ。

 


 戸田さんはクローゼットをがらりと開けて二、三着仕事用のスーツを取り出し、わたしの体に一着ずつ当てて服選びを始めたようだ。

 

 と、その前に…お互いにキャミソールとパンティ姿のまま向かい合っているこの状況を、どう解釈したらいいのか悶々と考えていますが、恋人同士でしか見せ合ったりしないとも思うし、温泉やスパだと普通だとも言えるので、恥ずかしがってる方が不自然なのかもしれない。

 

「戸田さんは下着姿でも恥ずかしくないんですね…」

「女の子同士だし、いつもの流れで見慣れてるから今更恥ずかしくないよ」

 

(毎日太陽を浴びるくらい見慣れて、やっぱり女の子達と遊び慣れているんだ!!? 谷村さんも遊ばれてる一人なのかな…)

 

「どれもオシャレなスーツですが、サイズは戸田さんの大きさですよね…?」

「ううん、うちのやなくて、一緒に買い物に行った時に寸法して買ってあげたオーダーメイドスーツでサイズは合ってるから、安心して着てもええよ」

 

(オーダーメイドスーツを何着も買ってあげるとか、戸田さんは王子様なの??!)

 

「このクローゼットの中の他の私服も、もしかして戸田さんとお嬢様方のお洋服でしょうか…?」

「お嬢様方?? うちの家にお泊まりした時用に用意してある私服やね。もしかして出勤時はスーツよりオシャレ着のワンピースとか私服がよかった?」

 

(皆さんお泊まりした翌日は御決まりの様にスーツか私服を選んでもらって、大事にお姫様扱いされて出勤されているのか…至れり尽くせり過ぎて羨ましい!!)

 

「あぁあああっ、わた、わたっ、わたくしも戸田さんのお姫様になります!!!」

「・・・? 意味がよくわからへんけど、お姫様になるより先にスーツ選びしてな〜ハッ…ハックション! 寒ぅぅ…」

 

 会話になっていたのか不明だったのを含めてお待たせしてすみませんと謝り、谷村さんが好きそうなスーツを手に取ってこれにしますと伝えた。

 戸田さんも自分の仕事用スーツを着て、髪型のセットとお化粧をするため鞄をごそごそと探り化粧ポーチを持ってきて、これが美月ちゃんのポーチだよ、と言って手渡してくれた。

 二人共準備万端で、いざ会社へと向かってタクシーを拾って走り出した。

 

「会社までいつもタクシーなんですか?」

「まさか〜、時々車だけどいつもは電車通勤してるよ。今日は早めに着いてる方がいいから」

「谷村さん会社にちゃんと辿り着けますよね…? でも、着いたら着いたで、わたしど突かれるんですよね…」

 

 タクシーの外の風景を眺める戸田さんは反応も返事もせず、妙に落ち着いたその横顔から何を考えているのかよく分からないのだった。