京香ママの子離れ奮闘記 (9)

京香ママの子離れ奮闘記 (9)

 

 

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*京香さんがお母さんというパラレル設定でも大丈夫な方は、どうぞお付き合いくださいませ。

*若干おふざけ気味なので要注意です。

 


 前回の流れが波瑠ちゃんと大政さんの恋話だったからだろうか、情報収集とは違った方向へと話が進んでしまう。

 

「お義母様、美月さんをわたしにくださ…イタッ!」

「はい、じゃなくて…ぇええっ?!!」

「アヤマサぁ、親友のお母さんにノリと勢いでそういうこと言うのやめてんかー!」

 

 黒木さんから頭をパシンと叩かれる大政さん。

 

 大政さん自身は見た感じの印象は、恵梨香ちゃんと波瑠ちゃんと並び立つくらいの身長とスタイルが良く、浮ついた発言が無くて黙っていれば綺麗で雰囲気もあっていい子だろうし、下心が含んでいるお触り癖が無ければ嫁入りして欲しいとは思う…

 この子の場合だと、あくまで美月ちゃん次第のような気はする。

 

「そ…それで、娘とはどこまで進展しているのかしら?」

「まだお付き合いすらしていませんが、美月さんへの愛はハートを打ち上げて月まで飛んでいけるくらい広大であります」

「よく言うわ…波瑠ちゃんにも常々求婚してるくせに…」

「ええっ! うちの娘二人に二股なの?」

「波瑠さんは妹のような可愛い彼女で、美月さんは愛くるしい嫁です!」

「それが二股言うんでしょうが!!」

 

 黒木さんからの必殺グーパンチが大政さんの頬にクリーンヒットした。

 

「ぐはっ!」

「わーおっ!! 黒木さん、あなたって同期の女の子にも容赦ないのね…」

 

 大政さんはグーパンチを受けた頬をさすさすと摩り、頬の腫れだけで歯が無事でよかったと安堵した様子から、かなり強靭な精神力と思考の持ち主だと伺えたのである。

 

「すみません、すみません…この子には後で自重するようによ〜く言いつけときますので、どうか穏便に…美月には言わないようにお願い致します…」

 

 丸テーブルに三つ指ついて額をベタ付けして平謝りする黒木さんを不憫に思ったわたしは、「大丈夫、娘には言わないから安心してね」と慰める口調で言った。

 

 こちらの相談をする流れに持っていくには、なんて気力と体力が削れる子達なのだろうと、若い子と接するのは娘達で慣れているとタカを括っているのが悪かったのかもしれないと日々反省するママです。

 

 子離れの奮闘をしない母さんの反省点は違うところやろ!と恵梨香ちゃんの声が遠くから聞こえてきたのは気のせいでしょう。

 

「はい、前座はここまでにしてそろそろ本題に入りますね」

「お義母様、この私めに何なりとどうぞご相談ください」

「アヤマサはコレあげるから黙っていようね…」

 

 黒木さんは、セットメニューのデザートに付いていたミニオレンジゼリーを大政さんの目の前に置いてあげると、嬉しそうな笑顔でありがとうと言っていつ食べようか考え始めている姿が不覚にも可愛かった。

 

「ごほん、それで相談というのはね、数週間後に総務部と食品系営業部の女子合同で親睦会として旅行しに行く計画が決まったんだけど…」

「へぇー、それはすごく楽しそうでいいですねぇ」

「うんうん、是非うちのファッション・アパレル部とも合同企画をお願いします」

 

 鯖の味噌煮を食べ終えると熱いお茶でも飲みたくなり、ちらっと社員食堂内の飲料コーナーに一旦視線を向けて二人の前に素早く目線を戻す。

 

「団体割で旅費は抑え気味で行けるんだけど、あなた達だったら行く? 行かない?」

「美月が一緒だったら行きたいです」

「うんうん、みっちゃんと波瑠ちゃんと親睦出来る素敵な企画なので絶対参加します」

「そう、そこよ、問題点はそこなの!」

「ああ、なるほど…」

「えっ?わたしの参加の有無ですか?」

「ぷっ、ある意味あんたが一番問題点やな」

 

 深刻に考えているわたしの思考をほんのりと緩めてくれる二人は、実際お話してみると良い子達だなぁと改めて思い始めていた。

 

「あの子が喜んで行きたいと言うかどうかが深刻な問題点なのよね…」

「確かに、そのお気持ちよく分かります…」

「みっちゃんもノリノリで行くって言うと思いますし、あんこが大好物だからお土産屋さんとか長居しそうなんですけど」

「いや、それはうちらと三人やったらの話であって、社員旅行で母と姉と妹付きで行くのかって話をしてるの…」

「なるほど…あんこはお土産で誰かに頼めばいい話になるもんね…」

 

 腕を組んで考え始めるお二人さん。

 

「旅行の誘いに、ぽんっと乗せる方法があるなら教えてちょうだい!」

 

 わたしは二人に頭を下げて懇願した。