あなたへのお届け物は直行便にて (後編)

あなたへのお届け物は直行便にて (後編)

(tdmt)

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*お二人の共演作、SPE◯翔の表現がほんの少々出てきます。

 

 

 二人共揃ってお酒が大好きなので、日本酒にも目がないのだ。

 もう一杯注ぎあって同時に一飲みで、おちょこが空になった。


「ん〜〜っバカうま〜〜にほんしゅメロメロ〜」

「ふわぁっバカうま〜にほんしゅピヨピヨ〜♪」

「それそれ! 懐かしいな、よう覚えてるやん」

「そりゃあ、二人の大事な共演作ですから忘れませんよ」

「まあね〜あっ、うちの手作りの筑前煮これやから、遠慮せんと召し上がってな」

「わーい! 待ってました〜頂きまーす…うん、おいひー♪」

「でしょ〜! じゃっ、次はふりかけパイン持ってくんね〜」

「いえ、それは遠慮しておきます」

 

 わたしが演じた役の顔つきでお断りを入れると、相手もそれに合わせて演じた役であの時のようにニッと笑い顔で反応してくれるから、楽しくなってきたわたしは彼女のほっぺや肩に頬を擦り寄せてひとしきり甘えた。

 

「ん〜甘えたさんになっとー?」

「うん、なっとーよ」

「めっちゃ好きやわー」

「うちもめっちゃ好きー」

「でへへっ、テレビなんか見る〜? この時間だと深夜帯のバラエティはまだやってへんよなぁ」

 

 うちのテレビのリモコンをポチポチ触り、録画している番組まで遠慮なくチェックするのは他の人だったら少しは遠慮しいやと言って速攻で止めに入るが、彼女に関しては特に問題無いし気にしていない。

 しかし、その中でも彼女が主演のドラマがいくつか入っているのは、さすがに恋人ながらも照れてしまう。

 

「おおっ最近のもチェックして見てくれてるなんて、めちゃ嬉しいし可愛いやつ! うりうり〜♡」

「そ、それは主に演技と表現の勉強になりますし…でも、寂しくて…せめて画面の中のあなたに逢いたいなぁと思って…」

 

 横を向いて見えたお顔は嬉しさと幸せいっぱいな笑顔だったので、わたしは照れ隠しに手を繋いで腕に腕を絡めて見つめ合い、顔を寄せてゼロの距離で愛を注ぐのがお互いに気持ち良くて止められない。

 繋がっている口元から混じり合った液が溢れてしまうと、繋いだ手の上に二滴ぽたぽたっと落ちた。

 

「画面の中のわたしよりも本物の方が綺麗でかなりイケてるし、かっこ良くて素敵だと思わん?」

「目の前の恵梨香さんの方が綺麗でかなりイケてるし、かっこ良くて素敵だと思ってるので…」

 

 寂しさなんて吹き飛ばせるくらい、何度も大好きだって伝えたい。

 

 わたしの手に落ちた液をペロッと舐めて、チュッと唇を当ててから艶色を帯びたクールな眼差しで見つめてくる彼女はどんだけカッコイイのか…

 

「かっこ良すぎなんですけど…」

「もっと言って…」

「えりかさんばりカッコイイ大好き!」

「うちも大好き!」

 

 イチャイチャがいつまでも続きそうなので、この辺で一時ストップ。

 

「…ほな、見たいドラマあるから流しますね」

「なんやろ、うちの知ってるやつ?」

「もちろん、見れば分かりますよ」

 

 DVDをセットしてソファーの定位置に戻りスタートボタンを押して彼女の肩に頭を凭れ掛けた。

 前回までのあらすじのナレーションが流れた瞬間、彼女は絡めている手をにぎにぎして汗ばむ様子から、動揺が伝わってきた。

 

「これか…いやぁ、参ったなこりゃ…」

「最近医療系のドラマにハマってまして…」

「これの他は?」

「Dr.◯トー診療所とドク◯ーXと救命病◯24時は少〜しずつ見ていますね」

「コレ含めて全部シリーズものだけど、見る時間あるの?」

 

 ジト目で怪しむ顔でも可愛い人だな。

 

「コレしかゆっくり見れてません…」

「うちが出てるから見てくれてるの…?」

「そうです (こくんっ)」

「ふへへっ (ふにゃっ)」

「好きな出演者は新垣さんと比嘉さんとそれから…」

「うちは? (ぷくーっ)」

 

 ぷくーっと膨れる頬を指で押してぷしゅーっと縮ませる動作が面白くて、頬を撫でてもう一回やってほしいとおねだりしちゃう。

 

「ほら、白石と冴島のシーンやで〜どうぞ穴が空くほど見てあげてな (ぷくーっ)」

 

 先ほどと同じく、指で押してほっぺをへこませてから、彼女の胸元に向かって素早く抱きついた。

 

「わっ!! 美月ちゃん…」

「…緋山さんが出るシーンの時だけ教えてください…」

 

 二人で身を寄せてソファーに体を沈め、見上げる彼女はもうわたしのことしか考えられないと、静かに欲情するその瞳に理性が溶かされて、心の底に降り注ぐような愛しい温もりを感じた…。