とだがきの部屋へようこそ (第一回目 その1)

とだがきの部屋へようこそ

(第一回目 その1)

 

 

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*特に脈絡もなく、未解決オフィスラブ登場人物の会話文中心なので、ごゆるりとよろしくどうぞ。

 


「突然上からの呼び出しを受けて指定された部屋に来てみたら、何ここ?」

「社内にある映像音声の収録室らしいよ」

「えーっ! そんな豪勢なものがこの会社に何であるの?」

「営業部門の開発した商品の社外売り込み用の宣伝映像を撮ったり、新卒者向けの社長メッセージ収録とか、その他諸々で使用されていると、広報部の綾瀬さんから聞いた話だけど…」

「へぇー、広報部ねぇ…ほんで、うちらはここで何をやらされるんやろなぁ」

 

 録音機材を操作して準備しているのは、紗季ちゃんの同期の綾瀬 はるかちゃんであり、広報部所属で今回わたしと新垣をこの収録に推薦したという話を後で聞いた。

 

「もしもーし、わたしの声が聞こえていたら右手を挙げてみてくれるかな?」

 

 収録ブースの外のはるちゃんに向かって新垣とほぼ同時に右手を挙手した。

 

「OK。もう少ししたらその部屋に一人ゲストが来るから、二人にはそのゲスト相手に進行表に書かれている手順で質問したり、会話の延長でも構わないからフリートークをして欲しいの」

 

 進行表を手に取ってざっと目を通すと、戸田と新垣には社内向けに人員紹介を宜しくお願いするわねby天海、と簡単な注意事項と説明文と他には質問内容がいくつか書かれていた。

 

「なんでわたし達が人員紹介なんてしないといけないのよ〜」

「うーん…総務部って全体総会の司会進行を任されたりするし、何でも引き受ける便利屋な部分があるんだよ…」

「え〜、まーた天海さんの安請け合いに付き合わされなきゃいけないんか…はぁぁ、めっちゃ面倒やな」

「フリートークだと、わたしじゃなくて天海さんとトッティーが組んだ方がいいのに」

「上司と組みたくないもん…わたしはガッちゃんとじゃなかったら速攻でお断りしてるんやけど」

「わたしがいいの?」

「ガッちゃんがいいの!」

「…あ、ありがと…(テレッ) わたしもトッティーがいいな」

「…照れちゃって可愛いやつ…ここはわたしが引っ張ってあげないとだわ、よしっ」

 

 進行表で顔を隠した新垣は耳がほんのり赤く染まっているのが見え、照れ顔を隠す姿が可愛くて胸がキュンと疼いた気がする。

 

「恵梨香ちゃん、今から録音を始めるから、部長さんへの愚痴は極力少なめでよろしくお願いしまーす」

「あーい、りょうかいでーす」

 

 はるちゃんから開始の合図であるキューが入り、わたしと新垣は進行表を読みながら不自然にならないように心がけて会話をスタートした。

 

「とだちゃんと!」

「あらがきさんの」

「「とだがきの部屋へようこそ〜」」

「総務部所属の戸田さんと新垣さんが仲良くゲストと会話をして、社内向けに明るく楽しく癒しを届けるのがコンセプトのトークコーナーになる予定と書いてあるね」

「わたし、フリートークとか不得意な方だから、トッティーに全振りしてもいいかなぁ?」

「いきなり全振りするんじゃなくてさ、わたしが話しやすいようにフォローするからガッちゃんも一緒に頑張ろよ、ねっ♪」

 

 普段の自分だったら、うちに全振りしてんとガッちゃんも脳みそフル回転させてトークしなさいよ!と御構い無しに言ってしまいそうなところを抑えて、おとなし目に優しく可愛らしさをふんだんに込めて新垣に伝えてみた。

 

トッティーさ、毒キノコでも食べて頭のネジが飛んでる?」

「そんな物食べてませんし、全くおかしくないですってば。失礼しちゃうわ〜プンスコ♪」

 

 新垣は普段のようなノリの返しが来ないことにおかしいぞと感じたみたいだが、わたしにも外向けの顔があることを知ってもらう良い機会だと思い、このキャラでしばらくやっていくことに決めるのだった。

 

「プンスコ♪  わ〜今度使ってみよう」

 

 新垣は時々天然にわたしの真似をする部分が不意打ちながら可愛いのである。

 

「とだがきちゃ〜ん。ゲストが到着したから、今からブース内に入りまーす」

「さっそくゲストが来たみたいやね」

「初めてだから緊張するね」

 

 はるちゃんの声が聞こえて、ブース入り口のドアを開けて入ってくる人物にわたしと新垣は緊張気味に視線を向けた。

 


[登場人物追加]

綾瀬 はるか

広報部所属で、社内でも宣伝力に関しては彼女の右に出る者はいないという噂がある程のやり手らしいが、本質は真面目な天然さん。

相武さんと同期であり、仕事に関しては同期の中では特に突出したいという気持ちがお互いに強い為、会えば静かに火花を散らしているライバル関係であるらしい。