平成ありがとう、令和の始まりSS 未解決商事の女子会2 ②

平成ありがとう、令和の始まりSS 未解決商事の女子会2 ②

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

 


 比嘉が美月ちゃんの手前まで差し出していたローストビーフをパクッと食べて、比嘉へとしたり顔を向ける。

戸田「もぐもぐ…ふふんっ♪」

比嘉「横から顔出して横取りするなんて、恵梨香は食い意地張りすぎでしょ」

戸田「食い意地張りすぎじゃなくて、美月ちゃんに勝手にあーんするなって意味やから」

谷村「ああ…そのローストビーフがラスト一枚やったのに…恵梨香さ〜ん…」

戸田「ええっ!ホンマやもう無いやん。しゃーない、うちの奢りでローストビーフ一皿頼んでもええよ」

谷村「ええの?やったーっ!おおきに、二人で分けて食べよね〜」

比嘉・波瑠・吉岡「わーい、恵梨香(戸田さん) 太っ腹!ローストビーフ山盛りで一皿お願いしまーす♪」

 三人が便乗して注文してしまった為、焦ったわたしは不満気な声を上げた。

戸田「コラ待て! 勝手に決めんといてんか」

相武「まあまあ恵梨香ちゃん、ここはうちに任せといて。今三人が頼んだ山盛り分はきっちりと割り勘で払ってもらうからな〜オーケー?」

比嘉・波瑠・吉岡「…お、オーケー…」

 三人は喜びも束の間で、同時にしょぼんと項垂れた。

 調子に乗った三人が頼んだ山盛り分とは別で美月ちゃんと食べる分をオーダーしてあげると、機嫌が良くなった美月ちゃんがふんわりと顔を綻ばせ、先ほどのお返しとばかりにこっそりと太ももに手を置いて撫で回してくれるその手つきが気持ち良くて、下腹部が疼いてくるから誘ってるのかと内心思ってしまうではないか。

 

 体の疼きが誰にもバレないように、わたしはいつもと変わらない口調で話し始めた。

戸田「さすがうちと美月ちゃんの紗季ちゃんはわかってる〜! 今週帰省したら三人で仲良くテーマパークデートしようね♡」

相武「三人でデートって美月ちゃんはええの?」

谷村「もちろん。紗季さんも大好きな人なので、うちらと一緒に遊んでくれるとめっちゃ嬉しいですよ」

 美月ちゃんは紗季ちゃんにもよく懐いていると知っているので、初めから答えがわかっているお誘いだったのである。

比嘉「わたしも今週は結衣と一緒に帰省するから楽しみだなぁ! 美ら海水族館へ行こうねって約束してるんだ〜♪」

波瑠「……あらがきさんと…一緒……」

 波瑠ちゃんが一瞬強張って顔を曇らせたが、隣に座る比嘉からは見えないように本当に瞬間的に顔色を変えて再び戻っていた。

 比嘉に好意を寄せていることがハッキリしている彼女自体にはこれといって悪い面は見つからず好感が持てる。

 だが、しかしながら彼女は、わたしの愛する人を手放すことになってしまったきっかけの張本人である為、それに関しては心の奥深くに哀しみと妬ましさが未だに消えず残っており、警戒が一切解けない人物であることには間違いないのである。

 実は、バレンタイン後に波瑠ちゃんと面と向かって話す機会があり、その時わたしの現状を含めた新垣と比嘉との関係を尋ねてきたので、詳細は伝えず新垣に対する想いと取り戻したい人がいるとだけ教えておいてあげた。


戸田 (美月ちゃんの心を奪うかのように急接近し愛する人を取られてしまった上に、ガッちゃんの大事にしている想いまで断ち切ろうとしてしまうような人の恋の応援なんて、悪いけど出来るわけがないよ…)

 

 無意識のうちに罪作りになってしまうような恋愛事情もあることを知るのだった。

 

吉岡「…へぇー…新垣さんと一緒か〜いいなぁ」

谷村「…ぇ……新垣さん…??!」

 里帆ちゃんの隣に座っている美月ちゃんにだけは彼女の独り言が聞こえていた様子で、またまた複雑化の一途を辿る恋模様になるのかもしれないと予想ができるのか、大きなため息を漏らしていた。

戸田「美月ちゃんのため息でっかいな…どしたん?」

谷村「なんでもないで…いえ、あとで話します…」

 太ももを撫でていた手を止めて複雑そうな表情のまま少し俯くと、太ももから移動した手がわたしの服の端をキュッと掴んできたので、気を落ち着かせようとしている仕草であると伝わってくるのだった。