オフィスラブ キャラクターリレーSS (おまけ)

オフィスラブ キャラクターリレーSS (おまけ) (谷村さん(視点切り替え)→戸田さん」

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*今現在このブログのメインカプの一組であるため、お話が長くなってしまっております。

 

 

 病院で診てもらった美月ちゃんを自宅へと連れて帰り、彼女を自室のベッドで寝かせて隔離する為、自分はソファーで横になって眠ることにした。

 付き合っていた頃から染み付いている習慣みたいなもので、病気の彼女の看病は慣れたものである。

 マスクの着用は必須だから唇への口付けは当然ながらおあずけで、残念だけど我慢します。

 ぬるま湯を入れた洗面器にタオルを浸して絞り顔と身体だけ拭いてあげた。

 高熱で意識がぼんやりしている中でも、美月ちゃんはわたしの動きを常に目で追いかけて見入ってくれるから愛しさが募るばかりだ。


 そんなわたしが、どうしてもう恋人ではない美月ちゃんに優しくて面倒を見ているのかと問われたら、もう気持ちがそこに向いてしまっているとしか言えない。

 彼女と姫初めをしたあの日から天海さんと一夜を共に過ごすことは殆ど無くなっていた。

 ただ、天海さんへの愛情が無くなったわけではないため複雑な心境だけれど、わたしは気持ちの折り合いを付けようと日々考えて過ごしているのである…

 

「あなた、いってらっしゃい♡」

「マイハニ~〜っ♡ 行ってきまーっす。…ちゅっ」

 美月ちゃんの前髪を横に流してマスクを下げておでこにキスをプレゼント。

 苦しげだった眉間が少しだけ和らいでいたから嬉しかったのかな。

「…って、病人になにをやらせるんですか…ごほっ」

「新婚さんの気分を味わいたくてつい…テヘッ♪」

「あーかわいいかわいい…」

「にひひっ、ちゃんと大人しく寝てるんだよ、何か欲しい物とかある?」

「…うー…んと…なんもない……」

 唇を若干尖らせている姿を見ると遠慮が出てしまう。

「そ、そっか…わかった。それじゃあもう行って…」

「あ…あのね、えりかさん…はやく…帰ってきてくれる…?」

「(にぱぁああ!) 来る来るっ、はい!もう帰って来たからお粥作ってあげるねー」

「…もう、いいからはやく仕事いってください…」

 時間の余裕は十分に取っていても、このまま美月ちゃんに構い過ぎていてはさすがに遅刻ギリギリになりかねなくて、頭を切り替えて家を出ることにした。

「美月ちゃんのケータイ枕元に置いてるあるから、何かあればまた連絡するね」

「…うん…一日寝てるから心配しないでええよ…あ、お休みの連絡しないと…」

「大丈夫、スーさんにはうちから話しとくからもう仕事のことは考えないように、わかった?」

「…はい…お願いします…気をつけていってらっしゃい…」

「ありがとう美月ちゃん、行ってきます」

 

 美月ちゃんの唯一のお願いで、早く帰ってきてほしいという言葉の裏に、一人だと不安で心細いのだと感じた。

 会社に到着後は食品経営企画部へと直行し、たまたま早出して来ていた鈴木次長に事情の説明と病状を伝えて、お休みの了承を得たのでホッと一安心だ。

「ありがとう戸田さん、わたしの方からも谷村さんのことをお願いするわね」

「はい、もちろんお任せください」

 京香さんも入社時から教育している美月ちゃんが大事な部下だと窺い知れていた。

「あの子は一人だったら病院も行かずに重い体を引きずって、出勤していたと思うの」

「そうですね、谷村さんと出会った時から、仕事への人一倍の懸命さと責任感が強いとわかっております」

「あなたがあの時身を引くしかないと半年くらいかけてようやく決意したのも、それも一つの要因だったのよね…?」

 お二人が波瑠ちゃんへと想いを寄せるライバルになる以前は、かなり良好な上司と部下の関係を築いていたから、立場上は職場恋愛を良く思っていない面も見受けられている。

 だからこの人には全てを伝えないよう気を緩めずに答えていく。

「申し訳ありませんが、それはお答えできかねます。ただ…今のわたしは谷村さんのことが必要だと思う気持ちが再び出てきているのは事実ですね」

「…そうなのね。まあ今日はここまでにして、戸田さんも遅刻しないように行ってくださいね」

「はい、それでは失礼致します」

 

 わたしはそのオフィスを後にして、総務部へと向かう階段を上って行くのだった。