メガネとわたしの愛をフォー・ユー

メガネとわたしの愛をフォー・ユー

 


*本編から過去へと遡った内容になっています。

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

 


 25時、柔らかな布団の中で目が覚め、腕の付け根付近に重みを感じ視線を向けるとミディアムショートヘアの頭が見えた。

 この子は寝覚めが良くないとわかっているため、寝付きが深い間にたくさん触れておきたい欲が湧いてきたわたしは、頭を優しく撫で回してから指にくるくると絡めてみたりして、反応を見ても起きず大丈夫だとニンマリしちゃう。

 その髪をふわふわと触って遊んでいるわたしの指の動きにようやく気がつき目覚めたのか、彼女はむくりと顔を上げてしょぼしょぼした瞳をこちらに向けて見ているが、きちんとわたしだと認識できているのか少々怪しい。

「…んんっ…? なんも見えへん…」

「起きたの? 電気つけようか?」

「…んーん…見えへんからちょうお胸貸して…」

「わたしの膨らみあんまりないですけどねー」

 わたしの小ぶりな膨らみに顔を埋めてぐりぐり動く度、くすぐったいと声を上げて身をよじっても、こちらの反応が面白いのかやめてくれそうにない。

「もっと柔らかいところに埋めたい…脱がしてもええ?」

「だーめ、まだ三日目だからえっちは終わってからね」

「下脱がんかったらできるよ」

「上だけじゃ我慢できへんー! とか言い出すからダメです」

 胸のぐりぐりを一旦止めて、見上げて目を合わせてくる彼女は珍しくおねだり顔をしていて、キュンと胸を打ってくるけど許してあげないのだ。

 許してしまったら彼女の情欲はそう簡単には止められないと分かっているから、今のうちに諦めてもらうよう気を逸らしていく。

「メガネ掛けてわたしの顔をよく見てよ」

「うちより恵梨香さんの方がよく見えてへんよね」

「ふふん、残念ながらまだコンタクト外してないのでーす。おねだり顔からぶー垂れた顔まで逃さず見えてるし」

「ずるい~うちも恵梨香さんのお顔見たいもん」

「だからメガネ掛けなさいって言ってるじゃないの」

「メガネ掛けたらここにちゅーしてくれる?」

「するよ」

「上脱がしておっぱい揉んで舐めてもいい?」

「上だけで我慢できるならね」

「・・・・」

「口尖らせて不満気な顔してもダメ」

「ねえねえ、恵梨香さん関西弁忘れてもうたん?」

「なんで?」

「起きてからずっと標準語で別の人みたいやし」

 体をぐっと持ち上げて、わたしの顔を覗き込んでちゅっちゅと音を立てて唇を合わせニコッと笑う彼女に絆されるまで、カウントダウンが始まる音が聞こえた気がした。

「そう? 標準語の恵梨香さんはお嫌い?」

「ううん、関西弁も標準語でも大好き! …ちゅっ…この唇も低めの声も大好きやもん」

「はい、メガネ掛けてちゃんとわたしを見て」

「うん…はい、これで毛穴の奥までバッチリ見えるで」

「いやだ~そんなところまで見ないでください」

「これで恵梨香さんの心の奥まで見えたらいいのになぁ…」

「そんなところまで見えなくても、いつもあなたには気持ち正直にお話してるから、心配しなくてもいいよ」

 彼女をギュッと腕の中に捕まえたらおでこを合わせ、愛しているという想いがそこから伝わるように念じながらゆっくりと額を動かす。

「あなたじゃなくて、わたしの名前を呼んで愛して欲しい…」

 その一声でカウントダウンがゼロになったわたしは髪を触って遊んでいた手を止めて、ぐいっと彼女を寝かせてその上に身を乗せたら、もう何も考えられずに無我夢中で唇から彼女の愛を吸い尽くしていく。

「…美月ちゃんごめん…今夜は泣いても嫌がっても許してあげられないから先に謝っておくね…」

「…うん…恵梨香さんの全てをうちに刻みつけてもええよ…」

「…ぁぁ…美月ちゃん愛してる…わたしだけをずっと見てて……」


 メガネを掛けて見て欲しいのはわたしが心から彼女を愛する表情で、それを外しても何もかも忘れないようにその身に刻みつけていくから…なんも見えへんとはもう言わせないよ。