とだくんとあらがきくん (その3)

とだくんとあらがきくん (その3)

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

**主要人物はほぼ全員男体化の作品になっておりますので、苦手な方には先にお詫びしておきます。

*まだお二人は入社四年目くらいの設定なので、天海さんの職位を部長→室長へ変更しました。

 

 

「…ねぇ…ガッちゃん……ここ……触ってもいい…?」

「…ぁぁあ…いいって…っ…言って…ないのに……ンンッ…」

「…どうして欲しいか教えて…もっと強く弄ってほしい…?」

「…ヤ、ダ……もっと…優しく……はぁ……シテ……」

「…そんな可愛い声聞かされたら…深いトコロまで…埋めたくなるから……ンンッ…」

「…イイ……そこ……やばっ……すごく……キモチイイ…ッ!!!」

 

 

 


バシッ!!

ドカッ!!


「痛っ!」

「イデッ!」

「ゴラーッ!!! アホメンコンビが仕事場でなにやっとるんじゃーーっ!!」

「新垣くんが肩凝ってるから揉み解してあげてたんでーす。テヘッ♡」

 僕と戸田くんの愛すべき上司である天海室長に怒られてしまった。

 天海さんに背中をヒザ蹴りされた戸田くんは、テヘッとしてお茶目な顔で床に転がっている。

「天海室長…そのハリセンはどこから…?」

「天海さん! なんでうちにはヒザ蹴りなんですか?」

「こっちは総務部備品のハリセンで、戸田はスケベな顔だったからお仕置き! まったく…二人共仕事は十分出来るのに、何でこう時々おバカなんだろう…」

 頭を抱える天海さんもスマートにかっこよくて、彼のファンである女子社員達からはピンクのハートが飛んで来ているのが目視で確認できた。

「それは天海さんの厳しさ90%と優しさ10%の割合からの反動で、僕らはこうなったんです」

「おーい、優しさはもっとあるから! それにしても、戸田の一人称、僕は似合わないなぁ。新垣は可愛いからいいけど」

 男に可愛いは良い意味の褒め言葉じゃない気がするのだが。

  戸田くんはスクッと起き上がり、デスクチェアに座っている僕の背中に突然ぎゅっとしがみ付いて来た。

「まあ…ゆいが可愛いは正解ですけどね~…声、可愛かったよ…マイハニー♡」

 戸田くんに耳元で囁かれて下腹部が疼いてしまいそうになり、慌てて両脚で踏ん張って荒く襲ってくる痺れの波を堪えた。

「ば…か…トッティーのスケベ野郎! もうあっち行って!」

「そんなぁ…うちのハニーがめっちゃ冷たい…」

 いつから戸田くんのハニーになったの??

「あんた…どんだけ新垣を溺愛してるの…」

 しょんぼりして泣きそうな戸田くんに若干引き気味の天海さん。

 

 そんな僕は、彼に触ってもらえるだけで心地よくて、悦ぶカラダがもっともっと…

 君が欲しい…

 そんな不純なコトを思ってしまう自分はバレてしまってはいけないのだから…

 

 フッと、ちょうどいい言い訳があると気がついて、僕は咄嗟にそれを話題に出した。

「天海室長、戸田くんが溺愛しているのはその写真立ての彼ですよ」

「あっ、それは! うちの…見んといてください…」

「ほほう、うちの会社の最優秀煌めきホープくんじゃない。もしかして、谷村くんの噂のジンクスでも信じてるわけ?」

 谷村くんの写真立てを胸元へ隠すように大事に持ち、恥ずかしそうに顔を逸らして頬を染めながら膨れている戸田くんはまるで、恋する乙女のように見える。


 ねえ、比嘉くん…不純な女顔の戸田くんなんて微塵も無いじゃない。


「そ、そうです。ジンクスを信じてるだけですから…もう勘弁してください…」


 もう一つ比嘉くんが言っていた通り、戸田くんは盲目でその人に惹かれたり惚れているわけではないのだと、写真立てを大事に抱えて隠すその両手を見たらわかりすぎて、自分への接触なんて記憶の彼方へと置き去りにされるように、掠れてしまうのだった。