にゃんと愛するせんぱいにときめき一直線 (前編)

にゃんと愛するせんぱいにときめき一直線 (前編)

(ひがはる)

 

 

*本編と番外編のハーフな感じのお話になります。
*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*にゃんにゃんの日はまだまだ終わらせないぞ♪

 


 バレンタインデーも無事に終わってから早くも8日が経ち、朝の日差しを浴び目覚めてベッドから起き上がったわたしは、頭と下半身に違和感を覚えて、直ぐに確認したところ…

「なにコレーーー!!? えっ、ええっと…猫の耳と尻尾が生えて…る??」

 寝癖ではなくピンっとした耳が頭部にあり、しなやかに揺れる尻尾は自分の身体から嘘偽りなく生えてるのが見えて、自分でも触ってみることにした。

「…わあぁ、すご〜い! 本物みたいに動かせるな~…って、そんな場合じゃなくて、このカラダどうしよう!?」

 枕元に置いてある時計を見たらのんびりしている暇もなく、わけもわからずな現状ですが、いつものように準備を始めることにした。

 

 確か猫は水浴びが苦手な筈だけど、シャワーを浴びても平気だったのは、どちらかといえば自分は精神的には犬なのかもしれないと前向きな心持ちで、バスタオルで体を拭いていった。

 猫耳を隠すためにニット帽を被り、ロングスカートを穿いて尻尾を隠し準備万端で会社へと向かって行くのだった。

 (ヒゲとか肉球とか隠しにくいものが出てきてないだけ全然マシかな~! 猫依存症の吉岡にさえ会わなければ一日平気だと思うんだな、ふふん)

 前向きな性格であり自分のポジティブさは同期や営業部の同僚に羨ましがられるが、何もせず悶々と悩んで身をすり減らすより行動して行く方がいいと、今の部署に異動してからの先輩の受け売りの言葉を大切にしているのである。

 


「おはようございます」

「おはよう波瑠ちゃん、今日はニット帽で来たんだ~すごーく似合ってるじゃないの」

友近主任、実は昨晩飲み過ぎてお家でおでこを打つけてこの辺りがボッコリ腫れてるんですよ…痛たっ」

「あちゃー! それなら恥ずかしくて帽子脱げないねぇ、お大事にするんだよ」

「はい、ありがとうございます」

 うちの部署では広く口が効くので有名な友近さんさえ上手くかわしておけば、あとのメンバーは特に追求してこないとわかっているんだ。

 ただ、隣の席の美月さんと上司の京香さんには誤魔化すのが難しそうだと思うので、接触する機会を減らすしか方法がないと考えていた。

 しかし自分の心配をよそに、美月さんは出社してくる様子がなく、部長と京香さんがオフィスへと入って来てデスクに着くと、朝の朝礼が始まったのだった。


「波瑠さん、わたしのデスクまで来てくれる?」

「はい、鈴木次長おはようございます」

「おはよう。実は急なんだけど、谷村さんが熱を出して今日はお休みだから、営業所への連絡業務を数件ほどあなたにも振ってもいいかしら?」

「美月さんは最近あまり体調が優れていない様子ですもんね…わかりました、お引き受けします。他にも何かやっておくことはありますか?」

「大丈夫、あとは部長とわたしと課長辺りで上手く廻せるから、波瑠さんは自分の持ち場をよろしくお願いするわね」

「はい、それでは失礼します」

 美月さんはお休みで、京香さんは美月さんの担当業務をこなさないといけないと考えると、身体の件について問いかけている余裕などないと踏んで、今日いっぱい乗り切れそうだと確信するのだった。


 そんな中、わたしの考えは少々甘かったと予想外の出来事が起こってしまうのである…


 自分の持ち場の仕事量が予想よりも多く、お昼休憩を減らして働いた結果、15時辺りで空腹感に耐えられず何か軽食を買いに行こうとオフィスから出て、社内にあるカフェへと向かって歩いた。


(お持ち帰りのサンドイッチを作ってもらえるし、良いお店なんだよねー)

 と思考を巡らせつつ、カフェがある二階の廊下を歩いていると、よく見知った意中の女性が真剣な表情で男性社員と立ち話をしている姿が見えて、その場を通り越す際に礼だけ交わして行くか、カフェまで向かうのは一旦やめておくか、その場に立ち止まってしばし考えてしまった。

 (あぁああっ、愛未先輩のあの真剣な眼差し、久しぶりに見たらかっこ良すぎてときめいてしまうじゃないの…どうしようもないくらい大好きなのに我慢できなくなるよ…愛未さん…)

 最近は社員向けの講習や研修の人事部指導者としての資格を取得したと聞いているので、愛未先輩の存在が少しだけ遠く感じてしまい、寂しくて恋しさが日に日に増しているのだ。

 愛未先輩をより近くに感じる方法がないかとスピーディに考えた末、イメージを大きく膨らませて妄想することにした。

 

『HA HA HAー!! 波瑠ちゃんは今日もキュートでビューティだね…お姉さんと一緒に旅立って綺麗な海までダイビングしに行かない?』

『愛未先輩とお泊まりで愛の海へとダイビング…行きたい…どこまでもご一緒に行きたいです』

『良かった、今夜はゆっくりと愛を語り合おう…わたしの素敵な波瑠ちゃん』

「…はい、愛未先輩こそとっても素敵ですよ♡」

「んふふ♪ ありがとう波瑠ちゃん」

「ま、ま、愛未せんぱい!! いつの間に目の前に来てたのですか…?」

「今ちょうど波瑠ちゃんが褒めてくれた辺りだよ、ふふっ嬉しいな」

 想像(妄想)した中から出て来たみたいに、愛する意中の人が自分の前に立っていて、キラキラとしたスモークがかかる演出がされているような風景の中で、わたしは上目遣いの目線でうっとりと見つめてしまう乙女になっているのでした。