とだくんとあらがきくん

とだくんとあらがきくん

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

**男体化作品になっておりますので、苦手な方には先にお詫びしておきます。

 


 僕には誰にも打ち明けられない隠し事がある。

 それは何かと言うと、同期入社の戸田くんのことが大好きで、密かに想いを寄せているのだ。

 彼を初めて意識するようになったのは、入社半年くらいの頃に遅刻しかけて階段を駆け上がって最後の一歩の所で足を踏み外して落ちそうになった瞬間、咄嗟に背中を抱き止めて助けてくれたのが戸田くんだった。

 その日、戸田くんは早目に出社していたのだが、僕の出社が珍しく遅いことを心配し、エントランスホールまで様子を見に来て、慌てて会社へ駆け込んで走っている僕の背中を追ってくれたのちの救いの手だったらしい。

 その日から抱き止めてくれた彼のことが気になるようになり、一緒に働いているうちに優しくて頼りになる彼に惹かれていくのだった。


「ガッちゃんさあ、めっちゃモテるのに何で彼女いないん? 作る気ないの?」

「そういうの気軽に聞いてこないでっていつも言ってるじゃん」

「なんで~? 別に素朴な疑問だし友達だから気軽に尋ねてもいいでしょ」

「会社の女子とは付き合う気が無いってことだから…トッティーこそ今はどうなの?」

「うちもまだしばらく誰とも付き合う気無しやな…」

「ふーん、結構何人かと付き合ってたのにようやく懲りたんだ」

「別にそんなに数多く付き合ってないって、ガッちゃんとまなみーと飲んだり遊んだりする友情にお金使う方が楽しいかなって感じやね」

「ぼくとまなみくんとの友情ねぇ…」

 

 二つ年上である比嘉くんとは戸田くんと僕の入社当時から可愛がってくれている先輩であり、大の仲良しの友達なのである。

 

「ゆい、えりか、お待たせ~、さあさあお昼ご飯いっぱい食べるぞっ♪」

「あんたのその可愛い声どっから出てんの?」

「ああこれ? 裏声使って萌えキャラのマネしてるの、面白いでしょ?」

「まなみくんは元から地声が高いから出来るんだよね」

「そうそう、さすがわたしのゆいはよく聞いてくれてるなー」

「はあ?いつからまなみーのゆいになったわけ?」

「それは出逢った時からに決まってるじゃん、ねー?」

 

 比嘉くんは僕の肩に腕を回してニコッと笑って同意を求めている。

 

「まなみくんってば男女問わずそうやって懐いているんだもん、ちゃんと知ってるから」

「なーんだ、八方美人に誰にでも懐いて自分の言うてるだけなんか、よかったー」

「八方美人ではないから、というか何がよかったーなの?」

 

 確かに何がよかったーなんだろうか?

 

「ガッちゃんに変な虫がつかんでよかったーって意味だよ、ねっ、あらがきくん」

「あーそういう意味ね…」

 

 なるほど、ちょっとだけドキドキしてしまったとは言えない。

 

「誰が変な虫なのさ! まったくこんな純真な青年に向かってヒドイ事言うよなぁ」

「はいはい、純真な女声のひがくんは可愛いね~」

「不純な女顔のとだくんの可愛らしさには負けてるから」

「はい? 全然不純ちゃうから。ただ単にモテモテなだけでーす」

「はいはい、そうですね~」

 

 いつもこんな感じで、この二人は仲良いようなそうでもないような、お互いを大事にしてる上で裏表なくワイワイとおしゃべりしているから、そんな会話にも慣れているのだった。

 戸田くんは比嘉くんと会話しながら僕の頭をポンポンっと時々タッチして、輪の中に入ってるから大丈夫だと気にかけてくれるから、もっと好きになるのが分かっていないようだ。

 

もしも反響があれば続きます←