ウブな彼女に要注意 (中編)

ウブな彼女に要注意 (中編) (パラレルオフィスラブ)

(がきとだ)

 


*本編の内容から外れた番外編になります。

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

 


 仕事再開した筈だった新垣は、オフィスチェアのキャスターをバックで走らせてこちらの椅子にくっつけてくると、思いもしなかった御誘いの声が聞こえてきた。

 

「ねぇ恵梨香…今晩よかったら晩御飯一緒に食べて一歩前進してもいいかな…?」

  そういう不意打ちのお誘いに、鼓動が彼女に聞こえてしまうくらいドキドキしてしまうのがわかっていないのだろうか。

「一歩前進どころじゃあもう全然足りないから、最後までいく覚悟しておいてよね」

 すぐ後ろにある新垣の頭部にコツンと後頭部を当てて、先ほどの返事と愛して欲しいという合図を密かに送ったのでした。


 しかしその日の晩、わたしは大撃沈したのだった。


 新垣を先にお風呂へと送り、その間に洗い物とベッドメイキングを済ませて自分もお風呂に急いで入り髪を乾かして準備万端と、気分最高潮の有頂天で寝室へ入っていくと…

 ベッドの真ん中を堂々と陣取った新垣は夢の中へ旅立ってスヤァ…と安眠している様子を見たわたしは、へなへなと膝を折ってその場に座り込んでしまった。

「…あかーん…ガッちゃん一度寝るとうんともすんとも言わんし、なかなか起きられへんのやったわ…めっちゃシたかったんはうちだけなんやろか…」

 新垣の上に跨ってしばらく顔を眺めながら、頬を叩いて起こそうかと考えたが、気持ち良さそうに可愛い寝顔を浮かべる彼女に手を出せるほど不純な気持ちが勝っていなかったわたしは仕方なくぎゅっと抱きついて体の疼きをなんとか抑えこんで寝たのである。

 


「ごめんね…お布団の中のトッティーの匂いに包まれているうちに気持ち良くて寝てしまってました…」

「…はいはい、また今度ね」

「えりか機嫌直してよ~」

「…キスすら出来なかったとはねぇ」

「んじゃ、今からする?」

「するわけないでしょ! ここオフィスのマイデスクなのよ」

「ほらっ今日は暇そうだし…」

 トゥルルル~~ガチャ…内線から新垣さんに繋いでくれと言われてますよと、お隣の同僚から声を掛けられて直ぐに仕事モードに戻った新垣を見送り、自分のデスクトップに意識を向けて仕事を再開した。

 


 その日の晩は月一で集まっている関西出身組の二人とご飯を食べに来ていた。

 お互いに悩み相談をしたり、長期休暇時は三人予定を合わせて実家へ帰ることも多く、向こうでも遊びに行ったりと仲が良いのである…が、ノリが少々、いや、だいぶ軽い点が悩ましかったりする。


「肉食系で手が早かったあの恵梨香ちゃんが、ウブな旦那さんには激弱って…アッハハハ!!」

「うぐっ、紗季ちゃん笑い過ぎやん!」

「恵梨香さんはわたしには、エロいカラダ早よ見せてよ~とか、その美乳早く触らせて〜とか、ムラムラが抑えられへんから頂きっ♡ とか言うて早々と手を出してましたやん、忘れたんですか?」

「うああぁあ…一切忘れてませんが、そんなぶっちゃけんといてよー。あの時は美月ちゃんがエロスボディ過ぎなんがあかんかったの!」

「えへへっありがとう、褒め言葉としてもらっときますわ」

「そのエロスボディって褒め言葉なん?」

「ええカラダしてるって意味ですよね?」

「そやで。そういう紗季ちゃんの嫁もええカラダしてるやん、時々美乳を揉ませてくれるけど」

「はあ!? 人の彼女に何してくれてんの!」

「どーどー落ち着いて、あの子が酔っ払った時に自分からどうぞってしてきたんよ」

「うーん…愛未ちゃんにはお仕置きと指導が必要かもやね…」


 紗季ちゃんとは出会った時から既にうちの親友と深い仲で繋がっているという繋がりから、気の置けない友人であり、美月ちゃんとは数年前まで付き合っていたので、どこかの本編と繋がってるんかーい! というツッコミは自分で入れておくとしよう。


「今夜の悩み相談はうちのウブな旦那さんの話をメインでよろしくどうぞ」

「えーっと、新垣さんは性格良し器量好し誰にも等しく優しくて、総務部の高嶺の花みたいな子やもんな」

「うんうん、あの部署の先輩後輩男女問わずで人気者やし、簡単に手出し出来へんわけですよ」

「今までガンガン口説いてこなかったのは、新垣さんのウブな面を大事にしてるからなんと違います?」

「最近好きかもって気づいてひと押ししてやっと告白してくれたところなのに、いきなり襲えへんよね」

「わたしだって当初はウブやったのに、新垣さんと何か差があるの?」

「うーん…エロスボディと高身長でスタイリッシュな雰囲気の違いかな?」

「なるほど、確かにわからなくもないですね」

「ガッちゃんが目の前でニコニコしてるだけで躊躇してしまうというか、ときめくというか…」

「要するに、新垣さんから来て欲しいんでしょ?」

 それそれ、そうなんですよ、ウブな彼女から来て欲しいという願望を持っているので、二人の助言を請うのだった。