癒しの猫とコーヒーを飲みながら

癒しの猫とコーヒーを飲みながら


年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 (10.5)

 

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*次でラストになります。めっちゃ長い女子会でござるよ~w(大変長々とすみません)

 


 ソファーに座って谷村さんに淹れてもらったコーヒーを一口、二口飲む。

 優しい口当たりでミルクがほんのり入っているのが絶妙なバランスで美味しい。

 ただ、コーヒーのバランスの良さと相まって、自分の格好のアンバランスさにため息が漏れてしまう。

 

「あ、あのう…」

「ん? どうしたー?」

 ソファーの側にやって来た吉岡さんが恐る恐る声を掛けてきた。

「新垣さんにひとつお願いしたいことがあるのですが…」

「ふんふん、なんだろう?」

「新垣さんに持たれてソファーに座ってもいいでしょうか…?」

「えっと、吉岡さんを脚の間に入れて抱えたらいいのかな?」

「はい、いえ、あの…無理なお願いしてすみません」

 わたしがこのネコの着ぐるみをお披露目した時、あの中でも一番嬉しそうに目を輝かせて擦り寄って来た姿を思い出し、快諾してあげた。

「いいよ、ここおいで」

「わーいありがとうございます、失礼します…ふわぁあ、ぬくぬくだ~♡」

「んしょっ、吉岡さんの体が収まっちゅうくらいわたしは大きいのかー」

「包まれてるこのフィット感が安心しますね」

「身長差あるからちょうどいいのかもね…女としては複雑ではあるけど」

 幾分か前だったか戸田にも同じようにしてあげた時も、包まれてるフィット感が良いんだよね~なんて言われて苦笑いした記憶を鮮明に覚えている。

 だから包んであげることにだいぶ慣れてきてるのか、複雑であれ喜んでくれるなら嬉しくもあるのだ。

「わたしは新垣さんの様な高身長の女性に憧れていますよ」

「そうなの? この中だったら天海さんが一番大きいよね」

「さすがに天海さんにはこういう甘え方は出来ないですよ〜」

「あはは、確かに天海さんは嫁以外には警戒して無理だろうねぇ」

 

 吉岡さんを片腕で抱えたまま机の上に腕を伸ばしてコーヒーを取って啜る。

 今現在、比嘉は相武さん達と買い物へ行ってるし、戸田も泣き疲れて仮眠中だ。

 だからなのか、側から見たら今のわたし達の姿がどう映るかなんてあまり考えてはいない。

 せっかくの機会に仲良くなれた後輩を可愛がっても何も問題はないはずだ。

 

「皆さんキャラが濃くて華やかな方が多いですよねぇ」

「確かに、これだけのメンツをよく集められたなって思ってた」

「ですよねー。社内の華やかな筆頭である天海さんと鈴木さんをはじめ、メディカル部の営業成績上位二人と、明るくて場を盛り上げていくタイプの比嘉さんと戸田さん。波瑠さんと谷村さんも歳が変わらないのに存在感が強すぎて圧倒されています…」

「わたしなんてのほほんとしてるだけだったような気がする…」

「いえいえ、わたしなんて恋愛の絡みも薄いので、認知されているかどうかも微妙なキャラですから…」

「そんな微妙ではないと思うよ」

「いえ、フッと消えて居なくなってもわからない自信があります」

「そんなこと言わないで、天海さんやわたしが気にかけてるから大丈夫だって」

「ありがとうございます。でもやっぱり誰かから求められたり必要とされている方々の中にいると、決して一人じゃないのに寂しく感じちゃうんです…」

 

 吉岡さんもこの中の誰かを確実に支えている筈だし、決して一人ではないと言ってあげて、微力ながらも力になってあげられることはないかと思考していく。

 そこへ、吉岡さんを気にかけてくれている存在が本当にやってきたので驚きだった。

 

「鬼の居ぬ間に新垣に甘えるなんて、なかなか吉岡さんも年上キラーの素質があるねー」

「天海さん! びっくりした…」

「あ、あの、これはそのですね…ごめんなさい」

 吉岡さんがあわあわと立ち上がりそうになっているのを咄嗟に腕に力を入れて止める。

「待って、ここにおいでって言ったのはわたしだから、気にしなくてもいいよ」

「ひぇえ、新垣さんが素敵過ぎて惚れてしまいそうですよー!」

「いや~ん、新垣が男前過ぎてわたしもドキドキして惚れちゃいそう!」

 惚れ惚れとした乙女の顔で自分を見つめてくる最年長さんと最年少さんにタジタジになり、思わず吉岡さんの背中に顔を隠してしまう。

「恥ずかしいんで、天海さんはあっちへ行ってください…」

「えー、楽しそうだからわたしも混じろうと思って来たのに、つれない猫よね~」

「今はわたしの猫さんですから~ふふふっ」

「ま、戸田と比嘉さんがいない間に充分可愛がってもらいなさい」

 先ほど吉岡さんが漏らした寂しさや孤立感が少しでも薄れてくれたらいいと思っているのは、わたしだけじゃなく天海さんも同様なのだとわかった。

 

「いいなぁ、あたしもあの中に混じって甘えたいですね~」

「あと二十歳若かったらわたしも甘えに行ってたわ~」

「……お二人も充分若い人に甘えているような気がしますが…(恵梨香さんが心配だから頃合いよく抜けて様子を見に行こう)」

 


 誰よりも戸田の隣にいると認識しているわたしと天海さんは目に見えるように好意を寄せられていることで多少なりとも安心感があるのか、この二人以上に谷村さんが戸田をよく知る一番近しい存在だったことを知るのは、まだ少し先のようです…