いつかまたこの三人で (前編)

いつかまたこの三人で (前編)

 


年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 (10.5)

 

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*ここまで長くなりましたが、この三人の会話を書いてみたかったので、よかったらよろしくお願いします。

 

 新垣と戸田が戻って来てから三十分くらい経った頃、わたしと紗季ちゃんと波瑠ちゃんは三人で近所のコンビニへと向かいがてらお散歩をしていた。


「うわぁ、大晦日の外はやっぱ寒いね〜。こんな寒い場所によく進んで抜け出そうと思ったのかあの二人に聞きたいわ」

「皆さんへの謝罪後に、寒かったでしょう?って結衣に聞いたら、トッティーが貼るカイロを用意してくれてたから平気だったの~うふふって言ってた」

「へぇー、恵梨香ちゃんって意外と行き当たりばったりな子じゃないんだね」

「…なるほど、用意周到だったんですね」

「あの子は根が優しいのと、好きな子には特に愛情深くて気が回ったりとか、そんな感じかなぁ」

「羊さんも似たところがあるからわかるよ」

 

 正直なところ、二人が抜け出したことに対しては怒りの感情よりも、また自分の知らないうちに二人の関係が進んでいる事実を突きつけられたことへのショックと哀しみの感情が大きかったのだ。

 そんな複雑な感情と葛藤していることを誰も知らないし、言いたくなかった。

 

「不躾に失礼なんですが、新垣さんは戸田さんとお付き合いされてないんですか?」

 波瑠ちゃんからのストレートな質問に胸がチクッと痛んで、即座に返事が出来なかった。

「数時間見ていただけでも、お二人の間には他の人とは違った雰囲気を感じましたが…どうなんでしょうか?」

「……そうだね……どうなんだろうね……」

 

 二人から顔を逸らすように天上を向いて目を細めた。

 私達三人を穏やかに照らす美しい月が出ている。

 あの月に二人も魅了されて見ていたのだろうとか考えると、余計に言葉を失ってしまう。

 言い淀んでいるわたしの様子を見て、普段とは様子が違うと察してくれた紗季ちゃんは、波瑠ちゃんに嗜める口調で話す。

 

「波瑠ちゃん、その聞き方はちょっとストレート過ぎるからやめてあげて」

「ごめんなさい…はっきりさせたかったのでつい…」

 三人の間に気まずい空気が流れているのは自分の性分からだとあまり我慢できないため、わたしは極めて明るく振る舞ってその場を和ませることにした。

「ありがとう紗季ちゃん。それから波瑠ちゃんの質問の答えはねー、恵梨香は天海さんと付き合ってるから、あの二人は出来てるわけじゃないんだよ」

「ああ、やっぱりそうだったんだ! 天海さんが名前の呼び捨てで特別扱いなのが何でかなと不思議に思ってたから納得できるね」

「ということは、新垣さんも戸田さんに片想いしてるってことなんですね…でも、わたしには渡さない宣言を返してきた……食えない人だなぁ…」

 波瑠ちゃんはだんだんと声量を落としていったので、途中から聞き取ることができなかった。

「恵梨香ちゃんってかなりモテる上に、大好きな人にはガンガン押していくタイプなんだね…あらゆる面で羊さんと似てるような…」

「そうなんだよー、あっコンビニ着いた~波瑠ちゃん早く早く」

「はーい!」


 店内を波瑠ちゃんと前後で並んで歩き、見て回り始めて行く。


 年末年始はお客さんが多いみたいで、お酒やおつまみからおでんや揚げ物類まで充実させている様子が伺えた。


「おでん美味しそうですよね」

「お酒のアテにこんにゃくと白滝を大量に買って鍋に入れてもいいね」

「闇鍋の後にもう一度鍋はさすがに勘弁してよ」

 

 紗季ちゃんのげんなりした顔が、闇鍋で微妙な物を食べてしまったと語っているのでした。