リップスティックキッス その1

リップスティックキッス その1

年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 (小休憩中の小話)

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

 


とだみつ

(あっ、恵梨香さんの唇ちょっと荒れてる…)

 リップクリームをサッと塗り

「恵梨香さ〜ん」

「なに~? 美月ちゃ…んっ……」

 恵梨香さんの唇に触れ合わせながらクリームを塗り込むように動かしていき、そっと離れると、恵梨香さんからも優しいキスを返してくれた。

「はいっ塗り終えたんで、これで唇も元気になりますよね、恵梨香さん♪」

「…ぁああ、もうそういうのキュンとするから! 美月ちゃんから離れたくなくなるや〜ん」

「離してと普通に言っても聞かないタイプやったんやわ…唇を元気にするよりも気分を高揚させちゃった」

 隙が多いところも、わたしとするキスが甘くて優しいところも以前と変わっていなくて、再びときめいたように嬉しく思ったことは本人には内緒です。

 (さっきまで落ち込んでたから、少しでも元気付けられていたらいいな)

 そんな恵梨香さんは、気分良さそうな顔色でキッチンに立って、追加のお酒を用意していくのでした。

 


あまとだ

(なるほどね~、ああやって何気なく近づいてキスしたらあの子は喜ぶのね。わたしもやってみよう!)

 塗り塗り…

「恵梨香ちゃ~ん、ちょっとこっち向いてくれる?」

「はい、なんです…んんっ?!」

 振り向いた戸田の唇に唇を重ねて、息継ぎも疎かに唇に自身のソレを塗りたくっていった。

「んふー、満足満足♪」

「はあはあ…はぁ…満足って何かしたんですか?」

「リップクリームのキッスしたら喜ぶと思って真似してみたのよー」

「待って天海さん、それはリップクリームやなくて真っ赤なルージュですやん!! ちょっと美月ちゃん鏡貸してー」

「はーい、しばらくお待ち…って、めっちゃ真っ赤!!あははっいい感じにバブリーですね」

「わたし色に染めたかったのよ~…て、コラーッ! 谷村さん今いい感じにバブリーって言った?」

「はい、天海さんらしくて素敵なルージュだと思いますよ」

「そ、そうかしら…ねえ恵梨香、谷村さんって新垣以上に食えない子じゃないの」

「そうですか? 新垣より美月ちゃんの方が正直で可愛がりやすいですけどね」

「気性が似た者同士だから扱いやすいだけのような気もするけど…」

 わたしは嫁から受け取った焼酎の水割りを飲みながら、谷村さんと戸田の観察を続けてみることにしたのだった。

 

 

ようさき

「おーっ、紗季ちゃん今の見てた? 戸田さんとキスする大会が絶賛開催中みたいよ~、あたしも参戦して来ようかな」

「ふーんいいんじゃないですか、好きなだけキスでもなんでもご自由にどうぞ」

 その返事を聞きニヤリとしたあたしは、テーブルの隅に置いてあるお化粧ポーチからリップクリームを静かに掴み一塗りして、紗季ちゃんの頭を引き寄せて唇を合わせた。

「…ちゅっ……ふぅ……好きなだけキスでもなんでもご自由にどうぞ…の言葉とおりにお気に召していただけましたか?」

「お…お気に召すわけがないでしょう!」

ドードー、怒ったら小じわが増えちゃうよ」

「こんな大勢の人がいる場所ではおおっぴらにしないでって言ってるじゃないですか!」

 プンスコしている紗季ちゃんが可愛くて、益々だらけてしまう口許を隠さなければとスッと手を当てた。

「大丈夫じゃない? ほら、他のみんなはテレビゲームに熱中してるから、好きなだけ続けていいのよ」

 テーブルの席であたしと紗季ちゃんと一緒に残ってお酒を飲んでいた京香さんにだけは、バッチリ見られていたのでした。

「…京香さんにこんな姿をお見せしてしまうなんて…羊さんには言動全て気をつけないと…」

「わたしもそのリップクリーム借りて真似してみようかしら…」

 ワインを一口飲んで、チラリと京香さんの想い人を横目で追って見ると、新垣さんはソファーでくつろぎながらテレビを眺めつつコーヒーを飲み、あの子は里帆ちゃんと比嘉さんの三人で某家庭用ゲーム機の◯イッチを満喫している様子だった。