年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 ⑨

年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 ⑨

 

*昨年ツイッターにて実施した、闇鍋から抜け出すCP投票の一位となった、白緋の中の人を書く流れにようやく辿り着いたので、どうぞご覧ください。

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

 

 

「まどろっこしいのは嫌なので単刀直入にお聞きしますが、新垣さんはどなたかお付き合いされている方はいらっしゃるのでしょうか?」

「なっ、なにを突然言い出すかと思えばそういう質問か…これは告白って雰囲気では無いよね」

「そうですね。つい先日、愛未先輩と久しぶりに食事しに行った時会話の中であなたの名前が出たので、どうしても本人から気持ちを伺いたいと思って数日ほど様子を見てここまで来たんです」

「愛未先輩っていうと比嘉のことだよね…あの子、あなたにわたしの何を話したの?」

「愛未先輩から、新垣さんに片想いしていると聞いて、その上ご自分のことを馬鹿だって言ってもいいなんて笑いながら、一人だと寂しいからお酒を飲んでわざと明るくしてるなんて言うんですもん…放って置けないですよね」

「愛未がそんなことをあなたに話したなんて…波瑠ちゃんはそれを聞いてどう思ったの?」

「愛未先輩とは最初配属になった部署の先輩の中でも特別大好きで、ずっと慕ってきたのに、あんな切なそうに明るく振る舞いながら笑っている顔にさせているのがすごく悔しかったですし、穏やかでいられるわけがないですから」

「それでわたしの気持ちを確認しに来たんだ…」

「はい」

 愛未からきちんと告白されているのに、わたしは返事をうやむやにしたままだと、ふと思い出した。

 自分の中では比嘉と戸田のどちらも大好きで存在が大き過ぎて二人共大事だし、現状はどちらかを選ぶことを決め兼ねているのが正直な気持ちだった…

「愛未から告白されてまだ返事をしていないし、わたしは一人を選べないくらい大好きな人達がいるの…だから…」

 波瑠ちゃんから次の言葉を受けたわたしは、天秤が大きくぐらついて傾く音が心の奥に響くのだった。

「そうですか、このまま愛未先輩の告白をうやむやにして振り回していくのでしたら…

わたしはあなたには愛未さんを絶対に渡さないと強く宣言します!」

 

 その後、わたしは波瑠ちゃんに何も言えないままその場にしばらく立ち竦み、彼女が一礼して会議室から出て行くと、ふらふらした足取りで総務部まで戻って、何とか頭を切り替えて仕事をこなしたのでした。

 


****

 


「ということがあって、入って来て一目散に愛未に抱きついたあの子を見たら無性に怒りが湧いてきて、あんな感じになってしまってたの…」

「…ぁ…ぁぁ…ガッちゃん…」

 

 新垣の話を聞いてしまったわたしは激しく後悔していた。

 波瑠ちゃんに言われた言葉をそっくりそのままお返しすると言い放った言葉の意味はもう一つしかなかった。

 

『わたしもあなたには愛未を絶対に渡さない!!』

 

 愛する人を奪われるのを拒絶するかのような、嫉妬心を爆発させた宣言返しをするなんて、自分が何も知らぬ間に事が進んでいて、目の前で見てしまうとは…

 なんて自分は無力なのか…


 目的地の公園に到着し、わたしは新垣の手を離すことがどうしても躊躇われてしまい、強く握り返していた。

「綺麗な噴水広場の公園だね。天海さんとよく来たりするの?」

 柔らかく笑いながら優しい声でそんなこと聞かないで欲しいのに…

 新垣から天海さんの話を振られるとこんなにも胸が苦しくなるなんて、頭が重くなり気が動転しそうなのをどうにか堪えないといけない。

「たまにお散歩程度に来るかな、酔っ払いのお姉さんの休憩ポイントでもあるし」

「あははっ、お姉さんのお世話してあげてるトッティーは優しいよねぇ」

 わたしが大好きな笑顔がこんなに近くで見えるのに、遠くなりそうな心も間近で見えていて…

「これっぽっちも優しくなんかないよ…本当のわたしは…」

 新垣の腕をグイッと引いて片一方の肩を掴み、少しだけ背伸びしたわたしは新垣の柔らかな唇を塞いだ。

 何度も交わして来たから諦めてしまっているのか、抵抗したり押し返すそぶりを見せない新垣の唇を何度も角度を変えて時々息継ぎをしながら口付けていった。

「…んはぁ……はぁはぁ……大好きなの……わたしは結衣のことを愛しているの…」

トッティーの浮気者…」

「なんとでも言っていいよ。わたしは…結衣を失うなんて絶対イヤだもん…うぅぅ…結衣、ゆいっ…うぁああーーああん!!」

「えっ、ええぇ?!どうして泣きだすのよ~、トッティー泣かないで…」

「……ゆい…まなみのとなりに…いかないで……うぅ…うぐぐっ…あぐっ……」

 

 ベンチまで支えられるように歩き、新垣の胸に顔を埋めて泣き続けるわたしの背中を撫でる彼女の手は、誰よりも温かくて愛しさで溢れているように感じた。

 美月ちゃんとも天海さんとも違う気の置けない安心感が新垣にはあり、心を柔らかく包むような愛しさが体を暖かくしていく。


わたしはこの手を離すことができるのだろうか…

それともこの手を掴んで離さずに今までと変わらず守り続けていくのか…


新垣の心の天秤の傾きを変えられるなら、わたし自身はどうにかなってもかまわないと思った。