年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 ⑦

年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 ⑦

 

 

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

*好きだと気がついたあなたとわたし(後編)と番犬ではないあなたと(中編)の一部修正しました。


戸田「イタタッ! 相変わらず美月ちゃんは起伏の激しい子やね…」

谷村「これでも恵梨香さんと一緒にいた頃よりは、だいぶおとなしくなってるんやけどね…」

戸田「今でも可愛くて好きやけど、付き合ってた頃の美月ちゃんもウブな感じでうちは好きやってんけどな~」

谷村「わたしの方から二人の関係を終わらせてしまってずっと申し訳ないと思ってましたが、今はもうお互い色々ありますからねー…」

 実は、美月ちゃんとは過去に恋愛関係を持っていたりしたのですが、またその話は別の機会にするとして…

 今は相談の件を聞いてもらうのが先だったと思い直した。

戸田「そうそう、だからこれからもお互いに協力していこうよ、美月ちゃん」

谷村「もちろん協力しますけど、よー考えたらさっき壁ドンは要らんかったよね?」

戸田「怒らんといてー、ね~っ、美月ちゃん…」

 眉間にしわを寄せて怪訝な顔で見てくる美月ちゃんの頬にチュッと唇を落とすと、美月ちゃんもニコッと微笑んで甘えてくるようにわたしの頬にキスを返してくれた。

 それと同時にダイニングからちょうど一人廊下へと出て来た。彼女は一瞬驚きの声を上げたが、次の瞬間には目を細めてにやけているのだった。

 わたし達の関係を唯一知っているのは、同じく関西出身の彼女だけなのである。

相武「わっ! 驚いたわー、二人ってまだ続いてたん?」

谷村「恋人関係はとっくの昔に終わってますよ」

相武「そうなん!? じゃあ今のは何なん?」

戸田「挨拶みたいなもんやから、深く考えず気にせんとってください」

相武「それはええけど、気いつけなあかんよ。わたしじゃなかったら確実に誤解を招くだろうから…それじゃあねー」

 紗季ちゃんは軽い忠告だけして、特に関心を持たない様子でお手洗いに向かって歩いて行った。

 そのあとある程度段取りとやってもらう内容を大まかに伝えると、飲み込み良く直ぐに理解して動き出してくれる美月ちゃんは、さすが上司から優秀と言われているだけのことはあると思った。

 わたしも早速必要な物を取りに行ったり、ごく自然体を装いながら闇鍋の準備に取り掛かっていき、美月ちゃんの協力体制のもと、本日のメインイベントを開催していくのだった。

 

戸田「それでは準備が整ったので、皆さんはアイマスクで目隠しをしてください。ちなみに食材の投入と配膳役は美月ちゃんにあらかじめお願いしているので、わたしもゲームに参加させて頂きますのでよろしくお願いします」

全員「はーい(わかりました)」

 二人で部屋のカーテンをきっちりと閉めて回り、美月ちゃんは照明を暗闇に落として全員見えていないかどうか確認してもらい、食材の投入を開始してもらった。

天海「食べる時はどうするの? 目隠しは外してもいいの?」

戸田「はい、食べる時だけは外してもらって構いません。暗闇なので美月ちゃんは食べる時の補助と、完食の確認及びアイマスク再着用の確認までしてもらう手順になります」

吉田「ゲームだから、何か当たりとか用意してたりするの〜?」

戸田「はい、わたしが持って来た食材にロールキャベツとホタテがあるので当たりとしまして、それを食べた人には豪華景品をプレゼントします」

谷村「わたしもよそって食べてもいいんですよね?」

戸田「もちろん美月ちゃんにも食べてもらうよ。そのかわりスマホの明かりとかつけてズルしちゃダメだよ」

谷村「ばっちりOKです」

戸田「それじゃあ、わたしからスタートで時計回りでよろしくね」

 ハイと言った美月ちゃんに配膳をしてもらい、さっそく食べ始めた。

 暗闇の中周囲を見回したところ、自分の手元を見るのがやっとくらいの視界であり、三つ分の鍋がちょうどよく目隠しになるように置いてあるので、この位置から人が居なくなっても気がつくことはないだろうと、わたしは密かに確信するのでした。

 美月ちゃんが移動する音と、食べている人物の大袈裟な反応に笑いが起こっており、わたしはその隙をついて、隣の新垣に小声でこの場から二人で抜け出す旨を伝えた。

 わたしはアイマスクを外し、新垣にも同様に外すように肩をポンッと叩いて指示を出した後、反対側の一番端に座っている里帆ちゃんの傍で食べるお手伝いしている美月ちゃんに合図を送ると、静かに椅子から立ち上がってダイニングを後にするのだった。

 

 暗闇の廊下で身を寄せ合うように並んで立ち、ひそひそ声で新垣に話し掛けた。

戸田「…はいこれ、ガッちゃんの防寒着…」

新垣「…トッティー…いつの間に持って来てたの?」

戸田「…まあまあ、それより今はここから早く出ようよ」

 新垣はノーカラーコートを羽織りマフラーを巻いて準備を終えて、わたしもモッズコートとマフラーを着用し、二人で音を立てないよう気をつけながら、天海さん宅を後にして早々とマンションの外へと出て行くのだった。