年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 ④

年越し年明けSS 未解決商事の年末年始女子会 ④

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

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 天海さんの出迎えに続いてお三方がダイニングルームへと入って来ると、華やかさが一段と増したのだった。

(会社の中でも平均以上の人達がこの中くらいのスペースに集まってくるんだから、そりゃあこんだけ華やかになるのは当然だろうな)

 このメンバーの中でも一際華やかなお姉さまであり、幹部クラスの方々の憧れ的存在の京香さんが和かに手を振っており、わたしはとても癒されているのである。

鈴木「遅くなってごめんなさい。お詫びの品になるかどうかわかりませんが、よかったらこのおせちを皆さんで食べてください」

天海「すごーい、これうちで扱ってる商品の中でも一番豪華な数量限定の五段重のおせちじゃない、さすが京香ちゃんね、流通から入手ルートが最高だわ!」

鈴木「天海さん、それほどでもないのよ」

戸田&吉田&吉岡「「「おー!!それは早く中身が見たいですねー!」」」

 一番豪華なおせちに群がるわたしを含めた数人の横をするりと擦り抜けるようにして歩いていった波瑠ちゃんは、驚いたことに比嘉に向かって一目散に飛び込んでぎゅっと抱きついたのだった。

波瑠「愛未先輩ーっ、あなたに逢いたくて待ち遠しかったんですよ~」

比嘉「んもー波瑠ちゃんってば、こんな熱烈なハグはもったいないからわたしなんかにしちゃダメだよー」

波瑠「愛未先輩だからしたいですし、もったいなくないですよ」

 社内でも一番遠い位置で仕事をしているこの二人に接点があったとは、この前偶々遭遇したわたしと天海さんと一時期同じ部署で仕事していた紗季ちゃんくらいしか知らなかったのだろうと、周りの驚いた反応でよくわかった。

 そんな中、わたしの予想だにしない出来事がその直後すぐ目の前で起こった。

 なんと新垣が、比嘉に抱きついている波瑠ちゃんを引き離し、ドンっと押し返したのだ。

比嘉「なになに?? 結衣っ、突然どうしたの?!」

新垣「そういうのホント迷惑だからやめてくれない?」

波瑠「愛未先輩を振り回して迷惑なのはあなたの方じゃないですか!」

新垣「突然ポッと現れたあなたに言われる筋合いは一切ないんだけど」

波瑠「あなたの方がこっちからしたら信用できない相手ですし、先輩の気持ちを思うとやりきれないんですよ!」

 突然始まった激しい言い合いに、何が起こっているのか訳がわからない状況に誰しもが困惑し動けなくなっていた。

新垣「…この数日前、あなたに言われた言葉をそっくりそのままお返しするから!」

 新垣は敵意むき出しの顔で波瑠ちゃんに言い放ち、周囲は緊張が走ったように静まり返った。

(ガッちゃんがあんな顔してるってよっぽどのことなんだけど…二人の間に何があったの?)

波瑠「いいですよ、こちらこそ受けて立ちます!」

谷村「ちょっと波瑠ちゃん落ち着いて」

比嘉「結衣、空気が重くなってるからひとまず落ち着こう」

 美月ちゃんが波瑠ちゃんの背中に手を添えて宥め、比嘉は新垣の前に立ち両肩に手を乗せて大人しくさせようとしている。

吉田「こらこら~、二人が暴れるもんだからあっちもこっちも埃が舞ってるじゃん! ほら二人共、みんなに謝って」

 羊さんが二人の間に割って入り、空気を変えるように振る舞い始める。

 羊さんのなんとも不思議な威勢に圧倒されたのか、二人はバツが悪そうな表情で謝罪するのだった。

新垣「突然大声で騒いでしまい、申し訳ありませんでした」

波瑠「遅れた上に騒がせてしまって、すみませんでした」

吉田「はいOK! ほらほら二人共、上司の前なんだからいいところ見せて挽回しないと、お年玉貰えなくなるよ~」

天海「えっ! 待って羊ちゃん、部下にお年玉あげるなんて決めてないんだけど」

鈴木「あ、なるほどっ、その手があったわ! 羊ちゃんどうもありがとう」

 天海さんと鈴木次長の真逆の反応に周囲からは自分も含めてちらほらと笑いが起こっているのだった。

 複雑な面持ちで佇んでいる新垣を天海さんがこちらに来なさいと呼びかけ、廊下に連れ出して話し合いをしたのか、しばらくしたら直ぐに連れ立って戻り、天海さんはわたしと里帆ちゃんに向けてお鍋の用意をするようにと急かしてくるのでした。