オフィスラブ キャラクターリレーSS③ (後編)

オフィスラブ キャラクターリレーSS③ (後編) (波瑠さん→谷村さん)

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

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 目覚し時計が高々と鳴り響き出し、腕を伸ばして慣れた手つきで早々と止め、目覚し時計を掴んで時刻を確認すると、いつもの起きる時間でいつもと変わらぬ日常が始まると思ったのは束の間だった。

 瞬時に違和感を覚え、掛け布団を取り上げて自分の姿を見たわたしは真っ青になった。

 

「わたし、なっ、なんで全裸なのーっ!? あぅぅ…頭がガンガンする…」

 

 頭痛と全身のだるさが一気に襲ってきて、再びベッドに背中を落とした。

 喉の渇きと胸焼けという不快な症状があることから、二日酔いだと思い頭を抱えて唸ったが、左半分の掛け布団が膨らんでいることに気がつき、嫌な予感がしてそっと頭上付近をめくってみると、よく見知ったミディアムショートヘアの女子の後ろ姿が見えた。そうしてわたしは、大きな目が飛び出しそうになるくらい驚愕したのだった。

 

「ななな…なんで美月さんがぁああ…しかも美月さんも何も身につけてないってことは、まさか…わたし…美月さんとシちゃった!!?」

 

 わたしのパニックになっている声で目が覚めたのか、こちらに体を気だるげに向けた美月さんは、のそのそと体を起こしてわたしにぎゅっと抱きつくと、甘さが含んだ声色で、波瑠ちゃんおはようと言って頭を擦り寄せて来たのだった。

 

 何が何やらさっぱり頭が混乱して理解が追いつかない状況だったが、抱きついている美月さんをパッと離して、ベッドの上で正座の体勢を取って深々と土下座をして反省の意を示した。

 

「美月さん、この度は誠に大変申し訳ありませんでした!!!」

「波瑠ちゃん、まさかとは思うけど…昨晩のことを覚えてないとかじゃないよね?」

「本当にすみません…正直に申し上げますと全く記憶が残っていません…が…その、やっぱりこの現状だと、そういうコトになりますよね?」

「うん、波瑠ちゃんがあんなに激しく性急に求めて来るとは予想外だったけど、とっても気持ち良くて最高だったよ」

 

 肌身に何も身につけてない姿で膝を緩めに抱えて、ニッコリ微笑んで頬をほんのりと染めている美月さんにうっとりして可愛いと思ってしまったが、今はそれどころじゃないと頭をブンッと振って姿勢を正した。

 

「結構な量のお酒を飲んで、戸田さんに抱えられてマンションに着いたところまでは思い出したんですが…」

「そうそう、かなり酔っ払ってたね。わたしは、波瑠ちゃんがデスクの上に自宅のキーを置き忘れてたから届けに来てエントランスで待ってたの。メッセージも送ったし、電話もしたんだけど、気がついてなかったんだね」

「会社から出た後はケータイを全く見てませんでした。美月さんは鍵を届けてくださった上に随分とお待たせして、その上酔った勢いで襲ってしまうなんて…本当に申し訳ないです」

 

 もう一度深々と頭を下げて詫びたが、美月さんはわたしの頭を撫でて、顔を上げて隣に来て欲しいとお願いされたので、ぱっと目に止まったタオルケットを素早く掴み、言われた通り隣に座り、自分と美月さんの体を覆うようにそっと被せてひとまず肌身を隠した。

 

「そうだなぁ…昨晩の記憶が全く残ってないんだったら、昨晩の分はお互いにカウント無しってことでどうかな?」

「あ、その、それでいいのであればお願いします…」

「ただし一つ条件をつけるとしようか」

「条件ですか…責任を取るという感じでしょうか?」

 

 美月さんは今まで見たことのないような妖艶な微笑みを浮かべて、わたしの髪を撫でて耳元にキスを一つ落とした。

 

「わたしを波瑠ちゃんの彼女にして、付き合って欲しいって条件でどうだろう…?」

 

 やはり責任を取るという流れになることは薄々と感じていたからか、特に驚きはしなかったが、美月さんが本当に大好きな人とお付き合いしなくていいのかという率直な疑問が浮かんできていた。

 

「美月さんは体の関係から始まって、好きでもないわたしとお付き合いをしたいんですか?」

 わたしは真剣な表情で美月さんに問いかけた。

「…ぷっ、あははは! 波瑠ちゃんって薄々鈍感なんかもしれんとは思ってたけど、ホンマにわたしの気持ちに気がついてなかったんは結構ショックやなぁ」

「えっ、鈍感? ショック? …というか、美月さんの関西弁初めて聞きましたよ」

「そりゃあコテコテの大阪出身やし、会社でこんな話し方してたらめっちゃ浮くでしょう? まあ、恵梨香さんみたいに自然に話してる人はいるんやけどね」

「いえいえ、関西弁で話す女の子って可愛いじゃないですか! わたしは好きですよ」

「わたしも好きだよ。波瑠ちゃんのことが出逢った時からずっと大好きなんだよ…これなら条件に見合う形になるでしょう?」

 

 胸がドクンと脈打ち体が熱くなってきていた。

 わたしは、美月さんの気持ちに全く気がついてなかった。

 今までのことをよく思い出したら、美月さんは自分自身や周りに厳しい人なのに、誰よりもわたしに優しくて、いつも何かと気にかけてくれていた大好きな先輩だった。

 このまま彼女と付き合ってしまってもいいのだろうか…?

 わたしの心の中に浮かんでくる人達は片想いで終わってしまってもいいの…?

 頭がズキズキと痛むのは心の奥底で霞んでいる記憶が疼いているのか、それとも二日酔いから来るものなのか、直近でいうとおそらく後者だろう。

 新垣さんに片想いしている一途な愛未先輩を思い出し、唇をキュッと噛んだ。

 美月さんのことを寝言で呼んでいた京香さんを思い出し、胸の動悸が早くなった気がした。

 大好きな気持ちや記憶を失わずに美月さんの大好きに応えてもいいのなら…

 

「美月さん、こんなわたしでもよければ…」

 

 彼女と手を絡めるように繋いで、そっと触れ合うだけの口付けを交わした。