オフィスラブ キャラクターリレーSS③ (前編)

オフィスラブ キャラクターリレーSS③ (前編) (波瑠さん→谷村さん)

 

*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

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*ほんのりと微エロ表現がある為、要注意

 

 頭がふわふわしてしまっているわたしは、戸田さんの肩を借りてお店を出ると、フラフラとした足取りで商業施設を後にした。

 

「…愛未せんぱいっ、もう帰るんですか~?」

「わたしは愛未先輩じゃなくて、戸田ちゃんだよー、わかるかな?」

「んん? 戸田ちゃん~もう一軒行きましょう!」

 

 戸田ちゃんとは愛未先輩のお友達の戸田さんだと、頭の中で何とか認識できたような気がする。

 

「だーめ、帰ってきちんと寝ないと明日の仕事に響くよ。まったく…まなみってば、どんだけ波瑠ちゃんに飲ませたのよ」

「波瑠ちゃんはまだ歩けるだけマシよ、比嘉さんは寝てしまってるから結構重いんだけど…」

「…天海さんごめんなさい」

「恵梨香ちゃん、あんたの親友なんだから、限度考えて飲むように言って聞かせなさいよ」

「いつも自重するように新垣と二人で口酸っぱく言ってるんですが、気にしない気にしない~とか言って困ったことに全く聞かないんですよね…」

 

 わたしは新垣という名前が聞こえて敏感に反応してしまい、道の往来で思わず大声を出していた。

 

「新垣さんには~愛未せんぱいは渡しませんっ!せんぱいはダメなんですーー!」

「こらこら、大声出さないで。恵梨香、波瑠ちゃんの背中をさすって宥めなさい」

「すみません! 波瑠ちゃんわかったから落ち着いて…って、え? 波瑠ちゃん今、愛未先輩は渡さないとか言った?」

 

 車通りが多く騒がしい駅前のタクシー乗り場でタクシー待ちの列に並びながら、戸田さんにしがみついていると何か質問されたが内容が飲み込めなかった。

 わたしが何も答えられずにいても再度聞いてくるようなことはなく、戸田さんは天海さんと会話をしているみたいだった。

 タクシーに乗り込んで最初の行き先はわたしの自宅マンションとなり、車内では戸田さんに寄っ掛かるように言われて、コクンッと頷いて言う通りにした。

 

「天海さん、波瑠ちゃんを部屋に送ったら直ぐに戻るので、タクシーを待たせてもらっててもいいですか?」

「もちろんそのつもりだけど、その子、恵梨香一人で大丈夫?」

「全然余裕ですよ、いつもはもっと大きい人に肩を貸してますから」

「寧ろ小柄だから。いいわよ、好きに言ってなさい」

「好きです、大柄でも大好きです!」

「そういうのはここではいいから!」

 

 眠気で頭がボーっとしながらも、二人の会話が聞こえてきていた。

 歳が離れた上司と部下の関係以上で仲が良いといえば、自分と京香さんもそれに当たるのだろうかと思い当たる。

 タクシーが目的地に到着し、天海さんが助手席から降りて後部座席に座っているわたしをエスコートして降ろし、戸田さんも続いて降りるとわたしの背中を支えてくれた。

 天海さんにありがとうございましたとペコッと頭を下げたところ、そのまま前のめりでふらついて倒れそうになり天海さんに受け止められて、もう挨拶はいいからと送り出されたわたしは戸田さんに抱えられるようにマンションへと入って行った。

 マンションのエントランスに入ると、待合用の椅子に座っていた人物がわたし達の元へ立ち上がって近づいて来るのだった。

 

「なんで恵梨香さんが?! もしかして波瑠ちゃんと飲みに行ってたんですか?」

「ああ、ちゃうちゃう、うちの親友と波瑠ちゃんが酔い潰れかけてたのを偶々見つけて送って来たんよ。 そんで、美月ちゃんは何でここに?」

「わたしは、波瑠ちゃんがオフィスのデスクの上に自宅のキーを忘れていたので届けに来て、待ってたんです」

 

 美月さんは引き継ぎますよと言って、戸田さんからわたしの体を移して抱き留めてくれた。

 それじゃあ後はお願いしてもいい?と言った戸田さんにハイッと美月さんは返事した。

 戸田さんを見送った美月さんは、少々不機嫌さが含んだ表情でわたしに肩を貸して部屋へと送っていくのだった。

 

 自宅に着くと寝室へと直行するように並んで歩いて行き、ベッドに腰掛けたわたしにお水を持って来るから待っているようにと言われたが、未だに酔いが覚めていないわたしは彼女の腕を引いて無意識のうちに腕の中に抱き締めていた。

 

「…せんぱい…行かないで……わたしが、あなたを…幸せにします……」

「…波瑠ちゃん、かなり酔ってるんでしょう? 先輩ってわたしのこと? 京香さんは先輩というか上司だし…誰のことだろう?」

「…悔しくて、本当は渡したくないくらい……だいすき…なのに……」

 

 彼女の唇を塞ぎ、性急に求めるように服をずらし、滑らせるように腕を入れて背中を撫で始めたら、甘く上擦った声が聞こえた。

 

「……まって……ぁあ…んんっ……波瑠ちゃん……」

「…ま……み……せんぱい……すべてゆだねて……ください…」

 

 カーテンが閉じたままの暗闇の中、微かに隙間から一筋の光が射し込む寝室のベッドの上には、しなやかな曲線美で浮かび上がる体がわたしを求めて彷徨い、悦びに高ぶりあげていく声と静かな水音だけが聞こえて、脳内にじわじわと浸透されていくようで…気持ちいい…

 

 酔に任せるように抱くこの手の動きを止める術は、理性が飛んでしまったわたしにはわからないのだった。