オフィスラブ キャラクターリレーSS ② (後編) (比嘉さん→波瑠さん)

オフィスラブ キャラクターリレーSS ② (後編) (比嘉さん→波瑠さん)

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

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 業務報告の為に一旦オフィスへと戻り、15分程で帰ってきた波瑠ちゃんは、帰宅スタイルで佇んでいて、お待たせしましたと、ペコッと頭を下げた。

 

「何食べたい? 確かお酒飲めたよねー」

「バッチリ飲めますよ! お肉とお酒が美味しいお店がいいですよね」

「あいよ、駅前にいいお店があるよ~レッツゴー」

 

 会社から出て、駅前の大型商業施設の中にある行きつけのダイニングバーへと連れ立って入った。

 わたしは白ワインをデカンタで頼み、波瑠ちゃんはビールをグラスで頼んだ。

 お肉料理はお店のオススメで何品か作ってもらい、乾杯とお疲れ様の御決まりの挨拶を交わして楽しい呑みが始まった。

 

「波瑠ちゃんグッドタイミングだったねー、サンキューありがとう波瑠ちゃんマン」

「波瑠ちゃんマンって、あはは! 愛未先輩は相変わらず面白い方ですよね」

「にひひっ、かっこよかった波瑠ちゃんに乾杯!」

 

 お酒が入ってテンションが上がり始めたら頭がふわふわしてくるので、新垣と戸田からは自分達と飲む以外は酒量を抑えてきちんと調節しなさいと言われているが、極めて理性的に楽しく飲んでいるんだし、何と言われても気にしない気にしない。

 

「店舗視察から戻って来たら、たまたま先輩を見つけて男性とぶつかりそうって思ったら体がひとりでに動いてました」

「あははっ、ドラマのワンシーンみたいな流れだったねー」

「それじゃあ、咄嗟に助けたわたしに惚れた愛未先輩が恋に落ちる展開があるとか?」

「ぷっ、ないない。それはドラマ見過ぎだから」

「えー、そうなんですか? わたしは愛未先輩のことが好きですよ」

「わたしも波瑠ちゃん好き! でも一番は新垣さんなんですけどね~」

 

 わさびソースがかかったステーキを一切れ口に運び、ワインを次から次へと飲んでいくうちに、新垣大好きデレ語りが始まってしまうのだった。

 波瑠ちゃんは一瞬目を見開き、口をぽかんと開いてから意外そうな顔でわたしを見つめて相槌をうった。

 

「愛未先輩の好きな人は新垣さんなんですね、なるほど…」

「うん、可愛すぎて撫で回したいし、向こうも気を許して懐いてくれてるのが可愛いのなんのって!それから、結衣のお家で飼って欲しいくらい甘えちゃうし、癒してあげたいんだよねー、うふふ」

「随分と惚気てくれるじゃないですか~、それだけ甘々だったらお付き合いされてるんですよね?」

 

 波瑠ちゃんのその一言でワイングラスを口に運ぶ手が止まってしまう。

 

これだけ惚気て甘々なのにお付き合いしてないんだけど…あの子にとっての自分って何者だろうとたくさん自問自答し、よーくわかっているつもりだ。

…結衣は恵梨香が好きだから完全にわたしの片想いだし、何一つ始まってもいない片恋なのに一人で浮かれてわたしは馬鹿なのだろうか?

 

 馬鹿でも大好きな気持ちは変わらないし、たとえ一方通行でも結衣が愛しいんだ。

 

「馬鹿だって言ってもいいよ、寧ろ踊る阿呆なのかもしれない」

「えっ!!もしかして片想いなんですか…?」

「うんうん、一人だと寂しいからお酒飲んでパーっと明るくしてるの! 波瑠ちゃんも飲もう飲もう」

 

 波瑠ちゃんは突然無言で立ち上がったと思ったら、テーブル席の反対側に座るわたしの隣に素早くやってきて腰を下ろし、ガバッと抱きしめられたので驚いた。

 

「も~悔しいなぁ!こんな綺麗で天然さんで可愛らしくてお茶目で面白くてユーモラスなお姉さんに片想いさせるなんて、新垣さんは見る目がないんですよー」

「波瑠ちゃん、もしや酔っ払ってる?」

「うん、お酒と愛未さんが酔わせたんですよ…」

 

 頬を赤く染めて目が少しとろんとした波瑠ちゃんは、何がどうなってるかわからないけど、お酒とわたしに酔ってしまった様子だ。

 

「お水飲んで落ち着こう、ヨシヨシ」

「わたしだって愛未さんのことが大好きなんですから、愛未さんが幸せじゃないと悔しくてムッとしてしまうんです」

「波瑠ちゃん可愛いねーーっ! よーし今晩はもっと飲むぞ~」

 

 わたしは抱きついていた波瑠ちゃんの体をそっと離し、横に並んだまま肩を抱き寄せ、ふにゃと笑顔を見せたら、そんな緩々で可愛い笑顔を誰にでも見せちゃダメですよ!と嗜められてしまった。

 その後も次々とお酒を追加注文して飲んだわたし達は完全に出来上がってしまい、二人で笑い合っているところに、偶然にも馴染みの親友とその上司がやって来たのだった。

 

「えらいうるさいのがいると思ったら、やっぱまなみーか…」

「ねぇ、恵梨香見てあれ、この二人くっ付いて飲んでる感じだけど付き合ってるの?」

「さあどうなんですかねぇ、こんな酔いがらみでだらしのない親友なんてわたし知りませんよ」

 

 側から見てもカップルだと分かるように天海さんは戸田の腰に腕を回して抱き寄せており、この二人は本当にお付き合いしているのだと直に見て改めて知ることになった。

 

「…そんだけラブラブなんだから…結衣のこと…離してくれたらいいのに…」

 

 眠気で思考がぼんやりとしながらポツポツと呟いた独り言が、波瑠ちゃんと二人に聞こえたのかどうかはわからなかった。

 

「恵梨香、今晩は残念だけど飲みは無しにして、出来上がってる二人を送っていくわよ」

「やっぱそうなりますよね…わかりました。コラッ、そこの呑んだくれまなみー!さっさと支払って帰るよ」

 

 支払いは戸田が代わりに支払ってくれた上に、波瑠ちゃんは戸田の肩を借りて歩き、わたしは天海さんにおぶってもらってお店を後にするのだった。