甘いのはわたしか、それとも彼女か (パラレルオフィスラブ)

甘いのはわたしか、それとも彼女か (あまがき) (パラレルオフィスラブ)

 


*本編の内容から外れた話になるため注意です。

*出張中の二人はまた後々書く予定で考えています。


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

 


その静かに深い瞳の奥に映っているのはわたし…?

それともあの子…?

ずっと一緒にいる仲を引き裂きたいというわけではなかったが…

ただ、求め合える仲になるには障害は付きものだと自らに言い聞かせて、その素肌に身を沈めてひとつに堕ちていくのだった…

 


 自宅のベッドで胡座をかいて座り、パソコンを叩く手を止めず考え事に耽る。

 明日のスケジュールを確認し、社内会議から懇親会へ参加後に外部企業幹部の接待をこなし、その折、懇親会の二次会三次会まで顔を出してくれとは、今からお酒の席の流れを想像したただけで非常に頭が痛くなる内容だと思い、顔を伏せて嘆息を漏らした。

 

「随分と憂鬱そうな嘆息を漏らしてましたね」

「あら、もう上がってたのね。いやだわ、恥ずかしいところを見られてしまったわ」

 

 考え事に耽っていた間にシャワー浴び終えた彼女は、タオルで髪を拭いながらベッドの隅に座ってこちらを見ていたようだ。

 

「わたし達ヒラ社員とは業務内容も責任度合も違いますから、そういった心労を吐露する場面があって当然だと思ってますよ」

「へぇー、ただの天然ちゃんというだけではなかったか、意外な発言ねー」

「ふふっ、天海さんを目標にしているだけなので、実際の中身は至ってシンプルなんですよ」

「シンプルなわりに、うちの中じゃあその天然さと純朴さに魅了されてる人間で溢れているんだから、そういう意味では心配なんだけど」

 

 パソコンをベッド脇のスペースに畳んで置き、彼女の隣に体を移して髪を拭き取るタオルに手を添えて拭っていく。

 

「ありがとうございますと、心配させてしまいごめんなさい」

「いいからいいから、早く乾かしてさっさと寝るわよ」

 

 さらりとした髪から香るシャンプーの匂いとお風呂上がりの心地良い香りだけでも刺激が強くて、穏やかに佇むなんて出来るわけがなかったが、逸る気持ちを懸命に抑えて淑女に徹していた。

 

「あまみさん…わたしは期待して来てるのですが…そういう意味と違うんですか…?」

「はあ…そんな誘うような瞳で見ないの。世の狼どもの餌食になるよ」

「世の狼さん達なんて興味がありませんよ。わたしはもう目の前の狼女さんにしかこの身を委ねるつもりはないんですから」

「あら~結衣ちゃんたらもうわたしに陶酔してしまったのねー、狼女さん戸惑っちゃうわ」

「陶酔しているのはわたしで、心酔しているのは天海さんだと思うのですが…天海さんに心を奪われてうっとりしているわたしと、わたしに対して心が夢中になっている天海さん、あなたの心の酔いが覚める時が来たら甘い夢が終わってしまうんじゃないかなって不安になる時があります…」

 

 新垣には全てを見透かされているような気がする。

 彼女の勘がいい部分は仕事面では評価しているが、プライベートまでは勘だけに勘弁して欲しいものだ。

 

「今何だか一瞬寒かったような気配が…」

「あ、そうだ!結衣ちゃん湯冷めするからギュッてしてあげる」

 

 自分の左側に腰掛けている新垣を抱き寄せ、腕の中に収めてギュッと抱きしめた。

 柔らかくてふんわりした女の子特有の良い匂いがする。

 最初に新垣を抱いた時は酔っ払っていたせいか、柔らかさも良い匂いも堪能したはずなのに、セックスをした時の記憶がほとんど残っていないのが悔やまれてならない。

 唯一脳裏に残っているのはわたしが新垣を自宅へと送って行き、ベッドに押し倒した時…

 

****

 

『…愛してる、新垣がずっと欲しくて我慢しているのが辛い…』

『あ、あの…私なんかでいいんですか? 天海さんだったらたくさん寄ってくる可愛い子がいるはずですし…それに同期の…っん…』

『他の誰かなんていらない、新垣だからいいのよ…わたしに全てを委ねてちょうだい…』

『…はい、よろしくお願いします…』

 


 という感じで口説いて、我慢出来ずに唇を奪った後に交わったような…

 


「天海さん、今何を考えているんですか?」

「新垣との初夜の記憶を辿ってたんだけど酔ってたのもあって、ところどころ記憶が曖昧でね」

「…それなら、実践したら思い出してくれますか?」

「絶対思い出すはずよ! そうなると、今晩は夜更かしコースで決定になりそう…目覚ましをかけておくように、よろしく」

「わかりました」

 

 腕の中から一旦体を起こして離れた新垣は、スマホをしばらく触ったら直ぐに元の位置に戻り、わたしの背中に腕を回してキスをして欲しいという表情で見つめてくるので、期待には応えてあげたいと思ったら即行動。

 唇を合わせて舌を絡めとるように動かすと、新垣も舌で中に入っているわたしの舌をなぞって味わってくれる姿に興奮が高まり、ベッドにそっと横たえてその身に覆い被さって両手を顔の両横に置いて見下ろした。

 

 甘く切なく揺れる深い漆黒の瞳に見入ってしまい、その甘い疼きから理性を全て飛ばされそうになるのを一歩手前で踏み留めたのだった。