LOVEとYOUを天秤にかけて (パラレルオフィスラブ)

LOVEとYOUを天秤にかけて (パラレルオフィスラブ)

 


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

 


 新垣との出会いは入社試験の時だった。


 筆記試験前の開始時刻よりだいぶ前に到着して、自分より前に到着していた隣の席の女子が就活鞄をガサゴソと探っている様子が気になって声を掛けたのが始まりだった。

 

「あれ…もしかして…やだ、やっぱり無い…」

「どうしたの? 何か忘れもんでもした?」

「忘れもんって、えっと…関西弁?」

「なによ、関西弁で悪い?」

「ううん、すごく良いよ、生の関西弁がこんなに間近で聞けるなんて超嬉しい!」

「(関西弁を聞いた事がないって田舎者?)へぇー、関西弁が聞けて超嬉しいなんて人間初めて会ったし…ところで、忘れ物は何なの?」

「筆記用具を入れ忘れたみたいで…試験監督してる方に貸してもらえないか聞いてみようかな」

「それはさすがに評価下がるかもしれないし、やめときなよ」

「でも、今からコンビニを往復する時間的余裕がないし…」

「わたし、予備のシャーペンと消しゴムあるから使っていいよ」

「ホント!?どうもありがとう」

 

 彼女には満面の笑顔で感謝され、よく初対面の人間にそんなにも笑顔を見せられるな…と若干引き気味に、どういたしましてと応えた。

 第一次面接とグループディスカッション時もお互い顔を合わせて挨拶を交わし、第二次面接、最終面接まで二人共無事に通過して、同期入社の流れとなったのだった。

 

「まさか、筆記試験で筆記用具を忘れたあなたも受かってるなんてね~」

「その節は本当にありがとうございました、確か、戸田さんでしたよね」

「へぇー、よく覚えてんねー。わたしあなたのこと、筆記用具忘れのお間抜けちゃんとしか覚えてないよ」

「記憶力はいい方なんです。というか、お間抜けちゃんじゃなくて、新垣 結衣という名前ですからどうぞ覚えてください」

「新垣さんか、まあ一応覚えておいてあげるわ」

 

 彼女は、あの感謝してくれた時と同様の満面の笑顔でわたしの顔に近づき、頬から顎のラインを撫でて、一生忘れられない言葉を貰うことになった。

 

「綺麗な大きな黒眼が印象的だね…わたし、戸田さんの声も瞳も顔も全部覚えてるから、絶対に忘れないよ」

「…ぁ……なんでそんな笑顔で……照れてしまうやん…」

 

 新垣は出会った時から天然な言葉でわたしや周囲の人物を魅了し、懐いてくれると妙に惹きつける柔らかな笑顔を見せるから、彼女の笑顔が大好きでどんな時でも守ってあげたいと思い、一番近い存在として隣にずっと居ようと決めたのだっだ。


 入社式を終えて、その数日後から新入社員研修が始まり、その時わたしと新垣は先輩である比嘉と出会った。


 そんな比嘉の言葉がわたしの心を揺さぶるから…息苦しさに襲われる。

 


わたし、結衣のことが大好きだよ…

まなみー、わたしからあの子を奪わないで…

結衣をあんなに泣かせて、あんたに任せておけない!

隣を選ぶのはまなみーじゃなくて、あの子自身じゃないの…?

気づいてなかったの?

何がよ、言ってくれないと何かわからないよ!

結衣があんたにだけ向ける笑顔は…

わたしにだけ向ける結衣の笑顔は…

 


ああぁ……あの笑顔が忘れられない……あの子に誰かが触れる姿を見ると、どす黒い感情が湧き上がってきて抑えがきかなくなる……ユイハダレニモワタシタクナイ

 


「…えり…か………どうしたの恵梨香……起きなさい!」

「……ぅ…うう……あまみさん……ゆめ…みてた……」

「酷く魘されてたから何度も声掛けて起こしてたのよ。というか、どんな夢見てたの?」

「うー…凶暴な怪獣に食べられそうになってたような…」

「ジュラシッ◯ワールド?確か、ぶつぶつとマナミーとか言ってたから…ネッシーの仲間?」

「まなみーですか、ああ、そう言われたら凶暴に噛みつきそうな怪獣かもしれないですね…」

「恵梨香の周りは要注意ってところか…今ここには怪獣も誰もいない、恵梨香はわたしのことだけを考えて感じていたらいいのよ」

「はい、天海さん…」

 

恋人として愛しているのは天海さんだけだ…

わたしの心と体は彼女を貪欲に欲している。

彼女と愛し合っている最中は何者にも変え難い幸せな気持ちと絶頂の快感を得られるのだから、わたしも彼女にしてあげたいんだ。

…たぶん、あの子は親友としての最愛の人。

天海さんの膨らみの間に顔を埋めて抱きつき、瞼を閉じて再び寝息を立てていた…

 

To be continued…