誕生日耐久SSS企画 (その1)

誕生日耐久SSS企画 (その1)

あなたのペースに乗せて (とだあら) [オフィスラブ番外編]


*現実の方々とは無関係のフィクションの世界です。

*本文の無断複製・転載等行為を禁じます。

 

秋の色付く木の葉が静かに揺れる並木道を歩く。

落ち葉を踏まないようにと、つま先歩きをしている彼女に笑ってしまう。

「ぷっ、それ意味あるの?」

「あるよー」

「一応聞くけど、なんで?」

「落ち葉の下にどんぐりが隠れてる時があってさ」

「あるね~」

「踏んづけちゃったりしてさ」

「うんうん、石とか木の実で靴底が駄目になったりするもんね」

「潰されるどんぐりが痛そうじゃない?」

「そっち!」

「うん、だからわたしは踏まないの」

「ふーん、変わってんねー」

「そうかな、まあそうかも」

顔を見合わせて笑い合う。

彼女の笑ってる顔が好きだ。

「わたし、その顔好き」

「わたしも笑って歯を見せるトッティーの顔が好きかも」

「えー、かもなの?」

「笑ってる顔以外も全部好き過ぎるから、かもなの」

「…あ、ありがと」

「あっトッティー照れてる!可愛い」

「照れてないし」

ほっぺをツンツンしてくる新垣の指をぱかっと口を開けて食べるフリをしたら、だめだめ言いながら今度はおでこをぐりぐりしてくる新垣。

ちゃんと前見て歩いてなかったからか、思わずよろけてしまった新垣を咄嗟に腕を伸ばして捕まえた。

「危なっ、もう、ガッちゃん大丈夫?」

「ご、ごめん…」

抱きとめて顔を上げた新垣を間近で捉えて目と目が合い、

お互いに好きな気持ちが溢れて惹かれ合うように唇が重なる。

「……んっ…」

「……ッ……ンッ…」

唇がめっちゃ柔らかい…

唇をはむはむしたら口角がにゅっと上がって嬉しそうだ。

外なのでリップの感触を味わうだけで留めておいた。

次はよろけないように手を繋いで一歩踏み出して行く。

自分よりも背が高い新垣を見上げて歩く。

その距離がちょっと悔しくて、自分が率先してリードしてあげるのだ。

「寒くない?」

「寒くないよ」

「お腹空いてない?」

「うーん、おやつが入る程度には」

「あっクレープ屋さん発見!」

「やったー、トッティーの奢りね」

「はいはい、何個食べる?」

「もちろん二つで」

「出た!食いしん坊新垣」

「恵梨香も食べるでしょ?」

「突然名前で呼ばないで…」

「恵梨香…わたし…イチゴカスタードデラックスね…」

「色っぽく言わない、しかもデラックスなの?」

「うん、トッティーの分も一緒に食べようね~」

「それが目当てなんでしょう、んじゃ、わたしブルーベリージャム」

「すみません、イチゴカスタードデラックスとチョコバナナお願いします」

「あっコラッ、勝手に決めないでよー!」

いつも新垣のペースに乗せられてしまうのは、惚れた弱みなのだろうけど、新垣が可愛いから許してしまう、恋人馬鹿なわたしなのである。