矢代のお弁当奮闘記 (やしなる) おまけ

矢代のお弁当奮闘記 (やしなる) おまけ

 


 ただし!問題は味付けよ…見た目とおかずのバランスは良くても、味だけは食べてみないと評価が出来ない。

 わたしは矢代が持って来ているカトラリーケースからスプーンを手に取って、鶏そぼろの卵を口に運んだ。

 


(…可もなく不可もなしという味ね、卵はそう失敗しないでしょう…次は…)

 


「先輩のお弁当最高す!愛情がはぎゅーっと詰まってますね」

「はぎゅー?なに?その擬音語」

「しますか?いいすよ~いつでもこの腕の中は先輩のためだけに空けてますから!」

「よく意味が分からないけど、遠慮しておくわ」

 

 私は鶏そぼろを口に運び、しばらく口の中で噛んでいたところ、これは危険だと脳から信号を受信して、スプーンとお弁当をローテーブルの上に置いた。

 

「ホルス!!あなたこの鶏そぼろの味付けは何?醤油が濃すぎなのと、砂糖が入ってなくてただの辛い鶏ひき肉じゃないの…あなた、私を早死にさせたいの?!」

 許さないと怒りを露わにして、矢代を睨み付ける。

「いいえ、自分と一緒に長生きしてください!!…えーっと、もしかしたら砂糖と塩を入れ間違えたっぽいっす。でへへっ」

「でへへっじゃないわよ。次は料理の『さしすせそ』を教えないといけないのね…先が長くなりそう…」

  頭を抱えてしまう私の隣で、ご飯をパクパク食べる矢代の頬にご飯粒が付いているのが目につき、どうしても気になったのでスッと掴んでパクッと食べた。

 


「っ!!!? せせせ、先輩…そんな突然、ぁあああ!!胸のトキメキが抑えられなくなるじゃないすか~!」

「??? …ホルス、もう少し静かに食べなさい」

 


 隣で悶絶している矢代を横目で見ながら、私はチョップドサラダを味わって食べているのだった。

 

 

 

…おしまい