運命の出逢いは本当にあるかもしれない (やしなる)

運命の出逢いは本当にあるかもしれない (やしなる)

 


21 years ago.

 


 わたしは学校に友達がたくさんいる、でも、時々一人で駆け出して誰にも見せたくない素顔の自分を、心開いた大事な存在にだけ曝け出してしまいたくなるのだ。

みんなには考えるより先に行動してると言われている、それに関しては自分でも認めているが、抑える術は今のわたしにはまだわからない。

そんないつもと同じ時を過ごし、ある日突然一つの変化が訪れるきっかけになる出来事が起こった。

 


 小学校低学年の少女にはまだ重たいランドセルを背負って、学校帰りのいつもの道を歩く。

右手側には何軒も建ち並ぶ家々と都会的な街並み、左手側には土手とそれを降った先には緩やかな川が流れていた。

しかしその日はいつもと違い、大勢の大人の男の人が陸橋の下から土手に集まっていて、何やら騒がしかった。

 


「現在、ホシの行方は不明、手掛かりを一つ残らず探すんだ、わかったな!」

「「はい!!」」

 


 大声が飛び交う地点からは離れてはいるが、怖いものを見てしまった様な気持ちが全身を瞬時に巡り、その場から動けずに立ち尽くしているしかなかった。そんなわたしに近づき声をかける人がいた。

 


「こんにちはお嬢さん、こんなところでどうしたのかな?学校帰りかしら?」

気づかないうちに、目の前に知らないお姉さんがゆっくりとしゃがみ、わたしに目線を合わせ、話しかけてきた。

「うん、学校さっき終わったところだよ。お姉さんは誰?」

「お姉さんは街のたくさんの人達を守る、刑事さんっていうお仕事をしているの」

「刑事さんってあのドラマとかで悪い人を待てまて~!て追いかけてる人のことだね」

「あら、お嬢さんは物知りさんね」

「えへへっお父さんとよく一緒にドラマを見てるんだ~」

知ってることを興奮気味に話しているだけなのに、お姉さんは相槌を打ってきちんと聞いてくれる。

「そっかあ。でもね、今日はこの先の道はちょっと大人の人達が多くて危ないから、違う道から帰ろうか?お姉さんもお散歩してるところだから、ご一緒にいかがかしら?」

「うん、もちろんいいよ」

 


お姉さんは立ち上がってスーツパンツの膝下の砂を払っていると、人だかりの中から一人駆け寄ってきた。

 


「おーい、鳴海!何やってんだ?早くこっちも手伝ってくれ」

「先輩、申し訳ありませんが、私は今から彼女をお家まで無事に送り届けようと思っております、少々現場を離れてもよろしいでしょうか?」

「ああ、なるほどな。まだホシが近くに潜んでるかもしれんし…それじゃあお願いするかな」

「ありがとうございます、それではまた後ほど」

 


お姉さんは再びわたしに目線を合わせて、手を繋いで歩きましょう、と温かく笑いかけてくれた。

 


「お姉さん、刑事さんって大変なお仕事なの?」

「うーんそうねぇ…たくさん大変なことも多いけど、たくさんの人々の悲しみや苦しみが世の中に溢れないように、お姉さん達が動いたり考えたり時には戦ったりもする、そんなお仕事ね」

「わたし、正義の味方に憧れてるんだ~わたしもお姉さんみたいな優しくて強い刑事さんになれるかな?」

お姉さんは歩きながらわたしを見下ろして、少し考えてから、言葉を紡いだ。

 


「一生懸命お勉強と運動をして、真っ直ぐに道を進んでいったら大丈夫よ」

「わたし、大人になったらお姉さんと一緒にお仕事したい!」

「ふふっ、了解しました!…頑張ってね、未来の刑事さん」

 


そして、お家の近所まで無事に着くと、お姉さんはわたしにふんわりと温かい笑顔でまた会いましょうと、見送ってくれるのだった。

 

 

 

あの時のお姉さんは今どこにいるんだろう…?

わたしも刑事になって頑張っています!と伝えることは出来るかな?

隣に座ってコーヒーを美味しそうに飲んでいる鳴海先輩は同性の刑事だし、もしかしたらその人のことを知ってるかもしれない。

いつかこの話をして聞いてみようと思いました。

 

 

 

終わり。