山奥物語(仮)(10)

 砂利道の悪路をしばらく上って行き、脇道に入って草花が生い茂る散歩道を抜けた所に、私のお家があります。軒下にスクーターを停めて、みゆきさんにお家まで運びますと声を掛けると、コクンっと頷いてくれたので、デリボックスの荷物は後回しにみゆきさんを抱き上げてお家の中へ入って行きました。
 
もう少しだけ待ってください。早目に暖める準備をしますね…
わぅぅ…行っちゃヤ…
ヨシヨシ…ここは私のお家ですから、すぐに戻ってきますよ。

 寒さから丸まった姿勢で居間に寝かせていて、縋るように片腕を伸ばしてくるみゆきさんの前にしゃがんで、頬を撫でて安心させるように呼びかけ、わうん…と、うなづいてくれました。

 素早く室内を移動して、まずはお風呂場へ暖かいお湯を沸かし、次に洋服タンスから新し目のパンティと寝間着にも使える部屋着を取り出して脱衣所に持って行き、お風呂の沸き具合を確認後、みゆきさんをお風呂に入れる為、よしっと気合いを入れて居間へ戻った。


準備が出来ました。今からみゆワンちゃんの体をポカポカにしましょうね〜♪
はっぷー…ワンちゃんじゃないもん…
それだけ言い返せるなら大丈夫そうですね…では、お風呂へ参ります。

 脱衣所でみゆきさんの服を脱がせていき、自分も服を脱ぐ寸前で手を止めて、不意に自身の心配事が頭をよぎりました。普段は暖かいお湯に入ることはなく、微温湯で湯船につかりつつ身を清めているので、この身が一番恐れる事態にならないように、気をつけなければならないのでした。

(私の秘密はまだ言えません…打ち明けたらきっとあなたは…)