山奥物語(仮)⑧

 あの日から一週間が経ち、私は変わらず普段どおりの生活を送っていました。
 私は、デリボックス付きのスクーターに乗り、依頼の品を届け仕事を終えた後、数日分の買い出しをしようと七色ヶ丘村では一番大きなスーパーマーケットに向かって走った。お買い物を済ませて荷物をデリボックスに積み込んでいると、突然大粒の雨が降ってきたので、急いで積み終えて鍵をかけて、スーパーの玄関口の軒下へと避難しました。
 私の他にも数人ほどがその場から動けず、空を見上げては憂鬱そうな溜め息をついているのが聞こえてきた。

(洗濯物を干したままだから、これでは帰ってから洗濯のやり直しですね…)
 玄関口でずっと雨宿りしているわけにもいかず、仕方ないので再び入店して、レインポンチョと顔を拭う用にスポーツタオルを購入し、玄関口で着用してスクーターに乗って走り出した。 山道に入る前の最後の交差点で信号待ちをしていた時の事…不意に、田舎の小さなバス停の小屋が目に入り、見覚えのある物影が木のベンチにうずくまって座っているのでした。

(まさか!あの子に似ているような気がしますが…一先ず声を掛けてみましょう)
 バス停の小屋の横にスクーターを押して行き、駐車してから足元に置いていたビニール袋からスポーツタオルを持ち、小屋の下に一つ設置してある木のベンチに足を運びました。
 フードが付いたローブを羽織っているその方は、ブルブルと身を震わせて寒さに耐え忍んでいるようです。

あの、あなたはもしかして、みゆきさんですか?

 ブルブルと身を震わせながら、ゆっくりと顔を上げたその人は紛れもなく、一週間前に知り合った狼女さんのみゆきさんでした。

ううぅ…そこにいる…のは、れいかちゃん…なの…?
そうですよ、ああ…こんなに全身濡れて、体が冷え切っているではありませんか…お顔だけでも拭いてあげますね。
ぶぶぶるる…れいかちゃんのタオルが…うぅ、ビショビショになって…汚しちゃうよ…

 ご自分が雨水を拭う事よりも、タオルが濡れて汚してしまう方が心配のようです。