夢の中に囚われのお姫様(10)

ガラス戸から中を覗くと目を疑う光景がそこにありました…


…ぁ…そんな……ぅ

わたしはその光景を見て、思わず絶句してしまいました。


教室の中では、わたしの机の上にみゆきさんが座り、それに被さるように抱き付き、濃厚に口付けを交わすもう一人の私がいました。
それだけではとどまらず、みゆきさんの瞳から大粒の涙が零れ落ちている姿が、わたしに追い打ちをかけるように胸を締め付けてくるのでした。


んんー…はぁぅ、ぅぅ…ゴメン、れいかちゃん…わ、わたしがあの時…うわぁあん!ごめんなさい…
みゆきさん…


私の肩に両手を置き、見つめながらひたすら謝り泣き叫ぶみゆきさんは、あの日見た光景と重なり、嫌な予感が脳裏を横切るとわたしは思わず教室から目を逸らしてその場にズルズルと座り込んでしまいました。


わたしがあの時泣いて叫んでれいかちゃんを引き止めちゃったから…ひくっ…れいかちゃんが留学を断わってしまうことになったのはわたしが……ぐずっ…わたしのせいなんだよ…
わたしはみゆきさんと…皆さんともっとずっと一緒にいたい、ここに居たいと心の底から思っていた事なので、みゆきさんが責任を感じて泣くことはないのですよ。
で、でもね…大好きなれいかちゃんを笑って送り出して帰りを待ってるって言おうと決めてたのに…立派な道に進むれいかちゃんに取り残されて寂しいなんて自分勝手な考えとか浮かんだり、恋人と離れ離れになるって追い詰められていくうちに、胸の痛みが酷くなっていったの…


(あの時、悩み苦しんでいたのはわたしだけではなかった…みゆきさんは恋人との一時の別離を想像し、悩み、しかも自分の都合でわたしの歩む道を滞らせてしまったという罪悪感を今でも抱えて日々を過ごしていた…とは…)


みゆきさんが泣きじゃくる声と私が宥めてあやす声だけが戸を挟んでわたしの耳に伝わっていました。