始まりはいつも貴女から(後編)

れいかちゃんが一人暮らしをしているマンションの一室に入ると、彼女のきちんとした性格が表れている、綺麗に掃除をして整頓された部屋を見入っていた。

寝室と今いるリビングルームとキッチンとダイニングルームがあるから1LDKといった所かな。


リビングルームのソファーに腰を下ろして、わたしの部屋の倍くらい広い部屋だねと言うと、お祖父様からオートロック付きの安全性が高い部屋を借りなさいと言われて、実家から家賃の援助をしてもらってるんですよ、と教えてくれました。
うちの両親も一人娘だから安全性が高い部屋にしなさいって言われて借りてるから、二人とも一緒だね。
そうですね。

クスクス笑いながら、れいかちゃんが淹れてくれたコーヒーを飲み、しばらく談笑して寛いでいました。


コーヒーが少なくなってくると会話のペースが落ち、れいかちゃんは俯き気味に少々トーンが低い声でポツポツと語り始めました。
みゆきさん…わたしは高校時代、男女問わずに何人もの人とお付き合いをしてきました。

突然始まったれいかちゃんの恋愛話に胸がざわざわと煩くざわめく。

…ですが、お付き合いをしたと言えるほどの事を何一つどなたともしていないのですよ…
それってどういうこと?
わたしの唇に触れる直前に相手を突き離してしまうの…どうしても触れて欲しくないという拒絶反応が出てしまうから、こんなわたしを受け入れる人なんて当然いる筈も無くて…これまでの日々を過ごして来たんです。
わたしがれいかちゃんのファーストキスを貰っちゃったから…だから、わたしの所為で…
みゆきさんのファーストキスを奪ったのはわたし、わたしはみゆきさんを誰にも取られたくなくて、心惹かれるように押し倒していたの。
違う、れいかちゃんが奪ったんじゃなくてわたしもあの時はれいかちゃんを欲していたんだと思う…でもそれは友達以上の特別な人だと思っていたから…
ただみゆきさんの傍にずっといられたらいい、皆さんや誰にも奪われないようにわたしだけを意識してくれたらいいという醜い心を抱えてしまい、そんな醜いわたしでは嫌われてしまうという恐怖心から高校も大学入学後もあなたからわざと遠ざかっていたんですよ…

れいかちゃんの本心を初めて聞いた。

れいかちゃん、わたしも今まで何度か告白されたり、この前なんて友達の付き添いで合コンにも参加したんだけど、心から惹かれる人は誰一人としていなかったんだ…でも、それはどうしてなのか、れいかちゃんの本心を聞いてようやく気づいたよ…わたしはずっとれいかちゃんに恋しているんだって、特別という言葉の意味は恋なんだって今分かったの…ごめんね、れいかちゃん。
どうして謝るのですか?
五年間も自分の本心に気がつかないなんて、れいかちゃんを一人にしちゃったから…ごめんね。
もう謝らないでください、わたしもずっとみゆきさんに恋しているのよ…!
れいかちゃん…大好き!

わたしはれいかちゃんの唇を塞ぎ、抱きしめながらソファーに押し倒し、深く深く舌を絡め合うと…この行為はこれから止められなくなると理性が騒ついていた。

みゆきさん、お願い…ベッドに連れて行って欲しいの…初めてはきちんと抱き合いたいから///
わかった…立てる?
はい、何とか大丈夫です。


れいかちゃんの体を支えて寝室に入り、れいかちゃんのベッドに二人で座ると、再び唇を合わせて瞳を交わし、お互いに服を脱がせ始めて下着まで取り去ると、生まれたままの姿で抱き合いながら寝転びました。

れいかちゃん、わたしの初めては全部れいかちゃんにあげるよ///
みゆきさん、わたしの初めても全部みゆきさんが貰ってください///
奪うじゃなくて貰うだからね、わかった?
わかっています、わたしを唯一愛することができるみゆきさん…始まりはいつも貴女からがいい…
わたしは貴女だけを…れいかちゃん、愛してる。
わたしもみゆきさんを愛しています。


友達以上の特別な人は恋心を密かに胸に宿して…愛し合える恋人にようやく想いが辿り着いた。


終わり