朝日が登る前に、君と笑い合って

うわぁあああっ…ハァハァ…ふぅ…夢かぁ…よかった。

とても恐ろしい夢を見た。

掛け布団を上げてパジャマを捲り、お腹をチラッと確認したが、傷一つ無くてホッと一息をつく。


はぁ…今何時だろう?

時計を確認すると、AM6:15という時刻を告げていて、まだ起きるには早かったが、寝直すには気持ちが落ち着かなくなってしまっていた。


ベッドから降りてパジャマを脱ぎ、外出着に着替えてから部屋を静かに出た。

お家の中は静寂に包まれていて、まだ誰も起きて来ていない事がわかる。


靴を履いて、合鍵を持ち、玄関から出て鍵を掛けてから外に向かって歩き始めた。


河川敷まで歩いて行くと、早朝ジョギングをしている人々とすれちがった。


それから、雑草が生えた土手に座り、川をぼーっと眺める。


(あの夢は一体何だったんだろう…わたしはなおちゃんを突き離してしまって、その報いを受けるんだ…なおちゃん)

あれ?どうしたのみゆき?

な、なおちゃん!?え、えーっと…
あぁ、早朝ランニングでたまたま通りかかったらみゆきを見つけたんだよ、隣いいかな?
うん、どうぞ。


緑のスポーツウェアを着たなおちゃんがわたしの隣に腰を下ろして一息ついた。

こんな時間に起きて散歩してるなんて珍しいね。
うん…ちょっと夢見が悪くてね、散歩したら気持ちが晴れるかなって思ってたんだけど…
そっかぁ、怖い夢だったの?

コクンと小さく頷くと、俯いてなおちゃんの顔を見る事が出来なくなってしまった。

あたしってさ、れいかみたいに理知的じゃないから、こういう時に巧く言葉を掛けてあげられないんだ。
首をぶるぶる振って大丈夫だよっと小さな声で答えた。

でもね、みゆきが悲しみに暮れていたら傍にいてあげたいし、いつものように笑っていて欲しいから、あたしだけが出来る事でみゆきを支えてあげたいなって思うんだよ。
…なおちゃん。

顔を上げてなおちゃんを見ると、川をキリッとした顔で見つめる姿が瞳に映った。

泣き顔も笑った顔も怒った顔も喜ぶ顔も全部大好きだから、みゆきの近くで見ていられたらそれだけでも幸せ一杯なんだよ。
なおちゃん…わたし…うぅ…ごめん。

涙が次から次へと零れてしまい、服を濡らしていく。

綺麗な雫だな、みゆきの涙…

わたしの頬に手をあてがうと、指で優しく涙を拭ってくれるなおちゃん。


心配しないで、ずっとずっとここにいるから、あたしはみゆきが大好きだよ。

なおちゃんの顔は今まで見たことが無いくらいに穏やかで温かくて、その瞳を見ると不思議と気持ちが落ち着いてくるのを感じていた。


みゆき…
ぁ、なおちゃ…んっ///

唇をそっと塞がれて、わたしの手に手を重ねながら絡ませるように繋ぎ合わせて…

三度目のキスは優しさで一杯溢れていた。


なおちゃんの優しさが胸にキュンと伝わり、わたしは頬を赤く染めて、もう…いきなりキスするなんて駄目っ!と伝えてから、気が緩むと笑みが零れていた。

よかった、みゆきが笑ってくれた。


そのあともわたしとなおちゃんは、河川敷でしばらく戯れ合っていました。