羽を黒く染めると天使は…中編

しばらく背中を撫でたり、頭を優しく撫でたり、ゆっくりとあやしてくれるれいかちゃんのお母さんに身を預けていました。

ようやく落ち着いてきた所で、顔をあげるとお母さんは優しく微笑んでくれました。
優しく微笑む顔がれいかちゃんに似ていて、少しドキドキしてしまいます。

その時、背中の襖がガラリと開き、れいかちゃんがふらっと出てきました。
あら、お母様…どうしてそんな所にいらっしゃるのですか?
れいか、みゆきちゃんに何をしたのですか?部屋の前で泣いていましたよ。

まだいたんですか…悪魔が大嫌いだから追い出したのですよ、何かおかしいですか?
れいか…あなたって子は…!?その背中の羽の色はどうしたのですか?
墨が掛かってしまっただけです、変ですか…?
れいか!ちょっとこちらに来なさい。
お母様!?ちょっと痛いですよ、腕を引っ張らないでください!

れいかちゃんのお母さんはれいかちゃんの腕を引っ張って、ずるずるとどこかへ連れて行ってしまいました。

わたしは心配になり、恐る恐るですが後を追っていきました。


れいかちゃんが連れていかれた先は青木家の広い浴室です。

扉に耳を付けて中の様子を伺うように聞き耳を立てました。


もう!背中の綺麗な青い羽が墨で真っ黒けじゃないですか!!ほら早く服を脱いで汚れた所を洗い落としますよ。
お母様ぁ、お風呂もシャワーも勘弁してください…羽が濡れるのは嫌なんですー!
みゆきちゃんを泣かせておいてよくそんな事が言えますね…さあ、わたしが羽を綺麗にしてあげますから早く入りますよ。
あぁん、嫌ですー助けてくださいぃい!!(ジタバタッ


れいかちゃんが浴室で泣きわめきながら、れいかちゃんのお母さんにゴシゴシされている様子が扉越しに伝わってきました。
(真っ黒れいかちゃんもお母さんには全く敵わないのかぁ…どこのお母さんも優しくて強いんだね)
泣き声が止まりしばらくすると、れいかちゃんのお母さんが浴室からわたしがいる廊下に出てきました。

みゆきちゃんごめんなさいね…うちの娘が粗相して大切なみゆきちゃんを泣かせてしまって、本当に申し訳ないです。
ぁ、あの…わたしはもう平気ですから、お気になさらないでくださいね。
わたしは曖昧な笑みを浮かべながら、頭を下げているれいかちゃんのお母さんに近づいて、ぺこり頭を下げました。

悪魔という身なのにみゆきちゃんはとても優しくて温かくて素敵なお嬢さんね、これからもどうかうちの娘をよろしくお願いします。
お母さんは頭を深々と下げた後、れいかが中にいるから見てあげてねっと言われた為、恐々と浴室の脱衣所に入ります。
するとタオルをグルグルと巻いてブルブルと震える天使のれいかちゃんが座り込んでいました。

あうぅ〜羽が濡れて力が全く出ないですぅ(ガタガタブルブル…
れいかちゃん…
みゆきさん!あの、先ほどは…ぅぅ、酷い事を言ってしまいごめんなさい…ごめんなさい(涙ポロポロ
別にいいよ…悪魔と天使が一緒にいる事が間違いなんだもん…悪魔臭いし、汚らわしいのはホントだと思うし・・・
わたしは自虐的になってしまっていて、れいかちゃんに近づく事が恐くて堪らなくなっていました。

みゆきさん、わたしは…(スルリ…
グルグル巻いていたタオルをスルリと脱がして、れいかちゃんはわたしの前に立ち、両手で優しく両頬を包み混んできました。