山奥へきのこ狩りに⑵

山奥へきのこ狩りに⑵

 急勾配な斜面を、慣れた様子で登って行くみゆきさんに続いて、私も腰を落として足元に気を配りながら登って行く。頭上を高く突き刺す様に生える木々は、赤松なのかしらと思いつつ眺めていると、みゆきさんが周囲を見回して再び匂いを探っています。

れいかちゃん、この辺りを探したら大きなマツタケがあると思うよ。
ふぅ…少し休んでから探してもよろしいですか?
疲れちゃった? れいかちゃんは休憩していていいよ。見つけやすいように落ち葉を退けておくね!

 みゆきさんは、少し開けた斜面の地面をガサゴソと弄り始め、私の方は転がり落ちないように木を支えにしてその場に腰を降ろした。慣れない山登りにひと息ついて、汗ばんだ額や首筋をハンカチで拭い、みゆきさんも汗をかいているのかどうか気になった。

みゆきさんも疲れたら、休憩してくださいね。
はふ〜わたしもちょっと汗を拭こうかなぁ…んしょ、えへへっ♪
まあ!みゆきさんの顔、汗だくになっているじゃありませんか。きちんと拭わないと風邪を引いてしまいますよ…じっとしていてくださいね。
わふわふっ、れいかちゃんくすぐったいよう。
前髪ちょっと上げます…もう少しで拭き取れますよ。
あっ、綺麗な唇…ちゅ♪
ひゃっ/// みゆきさん、突然唇にキ…キスなんて…///
れいかちゃんのお顔が真っ赤になってる! ごめんね、唇痛かった?
……/// 唇が痛いのではないんです…その…突然の口付けで…照れてしまいます///
照れて真っ赤になってるんだ…じゃあわたしと一緒だね〜♪


 みゆきさんからの愛情表現は突発的にやってくる為、身構える暇なんて殆ど与えてくれませんが、嫌悪感など一切無く、寧ろ好感を持ってしまうくらい、嬉しく思う自分がいるのだと自覚し始めるのだった。

山奥へきのこ狩りに⑴

山奥へきのこ狩りに⑴

 本日は、みゆきさんと山奥のもっと奥まで、きのこを狩りにやって来ました。
 ここに来た経緯を簡単に説明しますと、一昨日の夕食時に、お泊まりに来ていたみゆきさんときのこの話題で盛り上がり、この辺りではマツタケが手に入らないことを話すと、みゆきさんは自慢気にわたしと一緒だったら、マツタケくらいいくらでも見つけられるよ♪ とおっしゃるので、その話題に乗ってみることになったのです。

晴天に恵まれまして、本日はきのこ狩り日和ですね。
わたし、れいかちゃんが作って持ってきてくれた、お弁当の方が楽しみなの〜わふわふっ♪
うふふ、きのこよりお弁当なのですか?
だって〜れいかちゃんのお弁当初めてだし、こうやって誰かと仲良くお出かけするのことも、今までなかったから…うれしいの!
私も同じく嬉しく思いますよ。
そうなの? えへへ〜♪

 わたしの前を歩く、みゆきさんの尻尾に目線を落とすと、ブンブン小刻みに揺れているので、ご機嫌な様子が伝わってきています。

ふんふん…あっちの方角からイイ匂いがする!
あっちとは、もしかしてあの急勾配な斜面の方角ですか…?
うん、あの斜めのところをうねうね登っていけばいいんだよ。
は、はあ…マツタケまでの道のりは険しいですね…
れいかちゃんが落ちない様に、わたしが歩いて道を作るから、大丈夫っ☆

 軍手をつけた手を腰に当て、自信満々にニコニコしている狼女のみゆきさんです。

夏休みシリーズ⑶中編

夏休みは不思議な…もう一人の(中編)(星空姉妹編)

わたしはお家に帰った後、ベッドに潜って震えていた。
妹のれいかが花壇へ行ってから、ほんの間も無く声を掛けてきた彼女は、確かにれいかだった。
この世の中には自分と同じ顔の人間が、自分を含めて三人いるという話を誰かに聞いた気がする…しかし、自分と同じ顔をした人間と遭遇するのは…

姉さん、みゆき姉さん…晩御飯もうすぐですから、出てきてください。
ひゃっ…れいか…ぅぅ。
具合でも悪いのですか…?
お腹は空いてる…でも…オバケが恐いよ〜
姉さん、今日は朝からおかしいですよね。教室でも、皆さんが声をかけても恐々震えていましたし、何かあったのですか?
うーん…朝学校で、れいかが声をかけてきたの…
はあ、少し花壇を見に行きたいと言いましたよ。
そのあとは…?
みゆき姉さんお待たせしました、ですね。
ひぇええん!やっぱりあのれいかはオバケだったんだ…ぅぅ…
よくわかりませんが、わたしがひと時離れた間に、どなたか謎の人物が姉さんに話しかけたという事ですかね?
…うん、その人、みゆきねえさんって呼んだし、顔もれいかと同じだったんだよ。
もう一人わたしがいたというのですか?
そうだと思う…あっ!あの時、冷んやりとした風が吹いて、薄い青色の羽が顔の横を飛んで行った気がしたの…
…わたしと同じ顔…まるで、その人はビューティみたいですね。

わたしとれいかの微妙な空気を遮るように、お母さんの促す大きな声が一階から聞こえてきた為、慌ててお部屋から出ることになった。
晩御飯を食べ終えて、引き続き怖かったわたしはお風呂にれいかと一緒に入り、晩もベッドでお願いして添い寝してもらった。

翌日…

みゆき姉さん、今日は皆さんとプールへ行く予定なんですよ。早くお布団から出て準備してください!
やーだ、外に出たくないもん…れいかも一緒に行くのやめよう?
前々から約束しているのに、二人揃って当日キャンセルはお二人に失礼ですよ。
だって…昨日会ったれいかと遭遇したら、どっぺるなんとかで、れいか死んじゃうかもしれないんだよ…そんなのイヤだぁ。
ドッペルゲンガーですか?それは無いと思いますが…もしも、あるとしたら…

れいかは、わたしの部屋の本棚に近づいて、何か思案している様子でした。

夏休みシリーズ⑶

夏休みは不思議な…もう一人の(前編)(星空姉妹編)

登校日〜登校日〜♪
楽しそうですね、みゆき姉さん。
だってさ〜久しぶりにみんなと会えると思うとワクワクするじゃない。
あかねさんとやよいさんとは一昨日遊びましたよね、久しぶりとは言わないのではないですか?
そうなんだけど、学校で会うのは久しぶりだから、気分が違うの。
そういうものですかね。
そういうものそういうもの♪

学校に到着すると、生徒はまだ登校してきていない様子だった。
不思議に思いつつ校庭をぼんやり見ながら進み、校舎に入る前、れいかがわたしにお願いをしてきたのでした。

あっ、少し花壇を見に行きたいので、ここで待っててもらってもいいですか?
うん、行ってらっしゃい。
ありがとうございます姉さん、すぐ行って来ますから。

れいかが小走りで花壇へ向かう姿を見送ると、友達が誰か登校してこないかと、校門へ視線を動かしたのですが、その時…不意に冷んやりとした風が背中に当たった様な気がして、急いで振り返ると、そこにはなんと…

…みゆきねえさん、いてくださったのですね…
…ぇ…あれ!?れいかもう行ってきたの?ついさっき見送ったのに、脚早いね!
驚かせたかったので…がんばってきました、うふふ。
そうなんだ〜花壇どうだった?
花壇は…あっ、そういえば生徒会室に用事があるので、行きますね〜
えっ!?ちょっとれいか、校舎に入るんだったら一緒に…って、もう行っちゃった…

いつもより慌ただしい彼女に、わたしの頭は疑問符でいっぱいになっていたのだった。
しかし、驚いたことに、今しがた姿を見送ったはずの彼女が、息を切らした様子でわたしに声をかけて来たのでした。

はあはあ…ふぅ〜、みゆき姉さんお待たせしました!暑いので早く校舎に入りましょう。
ブワワッ!?れ、れいか、なななっなんでそこにいるの!!いまあっちに…走って行っちゃったのに…
何を言っているんですか?わたしは、花壇へ行ってから向日葵にだけ水をあげて、急いでここへ戻って来たんですよ。
向日葵に水やりしてたってことは、さっき会ったれいかって……ぎゃあああ!!!オバオバ、オバケやだよおおおお…ガタガタブルブル…
みゆき姉さん?!大丈夫ですか…?

パニックになりながら震えてその場にしゃがんだわたしと、オロオロしつつ屈んでわたしの背中をさすってくれるれいかを、登校する生徒達が不思議そうに見ては、校舎へと入って行ってくのだった。

みゆとれい(よいこのえほん)その2

みゆとれい(よいこのえほん)その2
七色ヶ丘という町に住む、みゆきちゃんとれいかちゃんは、読み聞かせ会の準備のため、本日はみゆきちゃんのおうちにいました。
図書館のいこいの場を使わせてもらえるようにお願いしに行ったり、日程が決まりチラシも作って、図書館に貼ってもらったり、近所の小さな子供達にも声をかけて、準備ばんたんであとは当日まで練習をして過ごすだけだと思っていたのですが、二人の表情はどんよりしていました。

ねえ、れいちゃん…読み聞かせ会できなくなっちゃうの…?
あ、あの…天気予報では、台風があさって、七色ヶ丘の地域に最接近すると言っていました…
台風が来たらできないの?
雨風が強くなってきて、外出が危ないので、おそらくは延期か中止になります…
そんなぁ…中止なんていやぁだ…うわーーーん!!
みゆさん…うぅ…

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みゆきちゃんの丸いお目めから、大粒の涙がぼろぼろとあふれて洪水のようにこぼれ落ち、その姿を見ているれいかちゃんも悲しくなり、つられて泣きだしてしまいました。
しばらくの間、二人で泣いていると、カタカタカタカタっと窓を打ちつけるような、強い風が吹いてきました。

ぐすん…風が吹いてきたね…れいちゃん、危なくなる前におうちに帰ろう?
イヤです…みゆさんと一緒に絵本の読み聞かせの練習がしたいです…
わたしもしたいよ。でも…あさっては中止になるよ。
あさってがダメでも、また来週にお願いして開催したらいいのですよ。
れいちゃん…みんな来てくれるかな…?
大丈夫です、大雨が降ったあとは、太陽がさして涙なんてすぐに乾いてしまいますから!
…そうだね。うん、れいちゃんと一緒だったら大丈夫だよね!
はい!ふふっ♪
タオルでお互いの涙を拭ったみゆきちゃんとれいかちゃんは、お天気が良くなるようにと願って、仲良くてるてる坊主を作るのでした。


おしまい。

みゆとれい、二人は仲良し!

夏休みシリーズ⑵

夏休みはまた違う楽しみ方も(幼馴染とあかねとやよい編)

青木さ〜ん♪ 午後から図書館に行かない?
いいですね、お供しますよ星空さん♪
何あれ?破局?!チャンス到来かな〜♪
なおちゃん、残念だけどあの二人は…
苗字で呼び合うのが新鮮で楽しいんやって。
へぇー…幼馴染だと小さい頃から名前呼びが普通だったからなぁ。
青木さん、宿題でわからないところがこんなにあるの!助けて〜えーん…(ハグッ)
ヨシヨシ、星空さんにはわたしが付きっきりで教えてあげますので、ご安心ですよ(ハグハグ)
あんたら…暑いのにようくっついてられんな…
わたし達がいてもお構いなしだもんね、スケッチしなくちゃ♪
星空さ〜ん♡ あたしがれいかから助けてあげる!(ダッシュ!ガバッ、ギュッ)
あぐぅ……なおちゃん…くるしい……がくり。
緑川さん♪ (ニッコリ)
ああ…青木さん…目が笑ってないような…
早くわたしのみゆきを離しなさい!!
きゃー、れいかがキレたー!
よいしょ、みゆきはあたしのお嫁さんになるから♡ じゃあね〜〜
ちょっと、お待ちなさい!

みゆきをお姫様だっこで抱えて、れいかの家の広い廊下を移動するなおを、怒り露わに追いかけて行くれいかを、うちとやよいはまた始まったという顔で見送るのでした。

夏休みシリーズ⑴

夏休みは楽しいな(プリンスみゆきちゃん御一行様編)

今年の夏はれいか姫と海を航海してバカンスに行くんだよ〜
さすが王族の夏休みは違うね…
ええぇー!ウニを公開!?あたしも一緒に連れてって〜!!
ウニやのうて、海や!しかし、まだ中等部のお姫さん達がよく二人旅を許されたもんやなぁ。
実は、私達だけではなく、侍女や付き人や護衛を何人も帯同しなければならないんです…
わたしはれいか姫と二人だけで行きたいって駄々こねたんだけどね〜危ないからダメってお母様にプリプリ怒られちゃった。
一国のプリンスが駄々っ子ってあかんやん!
まあまあ、みゆき王子様も一生懸命説得してくださったので、それだけでも私は嬉しく思いました…///
説得やのうて、駄々っ子やからな…何で、素敵なプリンス様〜って顔で惚れ惚れしてんの?!
まあまあまあ、うるさいあかねはほっといて、あたしも連れてってよ。
はいっ!わたしも行きたいなぁ…チラッ。
客船の中でお好み焼き焼いたるから、うちもうちも〜!
たこ焼きもお願いできますでしょうか?
あう〜れいかちゃん…(涙目)
おーけーや♪ にしし〜よろしくな、プリンスみゆきくん♪
もうわかったよ…よーしみんなで南の島へ旅に出るぞ〜!
おおっ×4


どんぶらこ〜〜どんぶらこ〜〜と五人を貸し切った中型の客船は南の島へと航海するのですが…


………ここ…どこおおぉおお!!!???
船長さんが現在位置を確認していますので、落ち着いてください、みゆき王子様…(航海図を広げたて正座で座って見入るお姫様)
ああ〜ぶどうジュース美味しい〜♪
無人島に漂着…幻の秘宝が隠された宝島…アニメみたいでワクワクするね〜〜
何でうち、この状況でたこ焼き焼いてんのやろ…?


プリンスみゆきちゃん達はどこへ行ってしまうのか…つづく?